笑の大学 スペシャル・エディション [DVD]

笑の大学 スペシャル・エディション [DVD]
   戦時下の昭和15年の東京。検閲官・向坂は劇団「笑の大学」の座付き作家・椿に次々と無理難題をふっかけ、直せなければ上演中止だと脚本の書き直しを迫る。が、椿はその要求を聞いてさらに素晴らしい脚本を作りあげていく。そんな2人が、ガチンコ対決を通して次第に不思議なきずなを芽生えさせていく様を描く。
   もともと本作は三谷幸喜が手掛けた2人しか登場しない舞台劇として作られたもの。それを映像として成立させるのはかなり難しかったはず。でもそれを映像ならではの、他の登場人物などを取り入れつつ、懸命に作りあげた努力は素晴らしい。特に劇団の看板スターに小松政夫を起用したのは拍手モノ。また最初は完全に舞台を潰すつもりでいた検閲官が、次第に心変わりをしていく様を、役所広司が絶妙のサジ加減で演じていて魅せられる。(横森 文)

ちょうど昭和初期の街の雰囲気を実際にご存じの年配の方が多い、ということに、数回映画館へ行くうちに気付きました。

自分の歳で数えても、生まれる二三十年前が昭和15年。この物語の設定された年の意外なほどの近さと、にも拘らず現在の日常と検閲が普通だった日常との遠さを、考えるともなく感じさせる。ストーリー展開のスピードだけを重視すれば「冗長だ」との批判も出るであろう演出は、しかしこの点では逆に非常に効いています。ストーリー展開の外の街の、大きくは世界の‘空気に囲まれた感じ’までを作り込めることは、逆に舞台にはない映画の醍醐味でしょう。

監督の星護(ほし・まもる)さんの几帳面さと、声質の良さ・背筋の伸び・演技というものの本質を掴んでいる揺るぎなさを遺憾なく発揮する名優役所さんと、この役に関しては意外なほどその生まれ持った素材感を生かし・役所さんという職人に上手に沿いかつ要所では反ってもいる稲垣さん。不思議な取り合わせではあるのにどの一辺も突き出ない綺麗な三角形を形づくっています。

コメディであるとか、笑って泣ける人情ものであるとか、三谷幸喜の決意表明ものであるとか、様々に言われるどのコメントも、この作品の一部であり同時にどれも少し違う。括る必要はなく、笑おうとも泣こうとも感動しようとも思わずに、ひたすらフラットに向かって正解です。何が残るかは人それぞれ。劇中役所さんの「笑いというのは、人それぞれですから」はそのまま、この作品の感想に重なります。

数カ所、ほんとにどの映画館でも、主に冒頭の年配の方々だけが必ず笑ったところがあります。そうか、このネタってある時代の日本人にとって例外なく笑った懐かしいものなんだ、とこちらまで暖かくなりました。そういうことをしっかり台詞にする三谷さんに、‘笑い’なるものへの、伝統までを含めての愛を感じました。

いい映画ですよ。これは人間普遍の物語です。

三谷幸喜の台本はあざとい。起承転結の堅固な構成、万人のツボを突くジョーク。そしてラストはしっかり泣かせにかかる。作者の狙いが分かりすぎるほどよく分かる。それでも陳腐に感じさせないのは技に手抜きがないから、そして三谷幸喜特有の熱い美学が迸っているからだ。

テレビドラマ「合言葉は勇気」や「新選組!」などを観れば分かることだが、三谷幸喜はコメディ作家であると同時に熱い男たちの友情のドラマが大好きな人である。物事を斜めに眺める視点と、まっすぐ見つめる視点の両方を合わせ持っている。

「笑の大学」は喜劇作家と笑いを認めない検閲官との闘争と友情を描いた物語である。過酷な検閲をかいくぐり、卑怯者と皆に罵られながらなお笑いを追究する喜劇作家は、三谷氏自身の分身であろう。上質の知的な喜劇でありながら、観終わった後には自然に背筋が伸びて来る。くすぶりかけていた志が、再び立ち上がれそうな気がして来る。

ほとんどが、検閲官の部屋で繰り広げられる新しいスタイルの物語。
こういう映画って映画と呼べるの?と始めは軽いノリで観ました。
しかし、これは紛れもない映画だと確信してしまいました。
それというのも、喜劇らしい間の取り方やストーリーの流れにビートがあり、
一つ所で進む物語が生きており、流動性を感じたからです。
それは、役所さんと稲垣さんの演技が素晴らしいからでしょう。
TVドラマならまだしも、2時間の映画できっちり、生きた人間が描かれていました。
テーマの笑いについては、この時代ならではの背景を生かすことで、笑いというものの本質を炙り出していく過程を見事に表現しています。
勿論、笑いをテーマにしているだけあり、笑いの種もそこかしこにちりばめられていて退屈することなく最後まで一気に観れます。
スタッフロールのこだわりも素敵で最後の最後まで「笑いの大学」に浸ってしまいます。
新しさと懐かしさの同居した映画なので、さまざまな世代の方にお勧めできる映画です。

かつて「おくにのために」数多くの才能が失われた。 ラストでこの話が大いなる悲劇であることに気付かされます。... 続きを読む

前にレンタルで借りて見た事があり、あのジワジワくる笑いが忘れられず、購入しました。... 続きを読む

喜劇で喜劇を描くとなると
ハードルが高いと思いましたが、三谷さんはまっこうからぶつかっていってます。... 続きを読む

役所広司さんと稲垣吾郎さんの二人のやりとりで物語は進んでいくんだけど、二人の演技はさすがでした。特に、役所広司さんの演技にはうなっちゃいます。すごい。... 続きを読む

 とにかく、おかしい場面がたくさんあって笑える。舞台もぜひ見てみたかった。... 続きを読む

昭和15年というかつての「大日本帝國」の言論統制下を舞台にしたコメディです。... 続きを読む

三谷幸喜お得意って感じのシチュエーションと展開ですね。話的にはほとんど先が読めてしまって引き込まれる感じではありませんでした。それにしても映画を売るために有名人を... 続きを読む

三谷幸喜作品はいくつか観ましたが、実はあまり好きではありませんでした。
笑いを追求しすぎるあまり疲れる。... 続きを読む

レンタルでは凡作だなあと思いながら鑑賞していましたが、
役所広司演じる検閲官の本音が出始めたあたりの1シーンにやられました。... 続きを読む

役所広司という役者が大好きです。演技力もさることながら、一つの役柄に捉われることなく... 続きを読む

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