ベジャール/東京バレエ団「ザ・カブキ」 高岸直樹/上野水香 [DVD]

ベジャール/東京バレエ団「ザ・カブキ」 高岸直樹/上野水香 [DVD]

歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」を題材にベジャールが振付けた東京バレエ団オリジナル作品「ザ・カブキ」。
東京バレエ団のためにベジャールが振付けた日本と西洋が見事に融合した壮大なバレエ作品の一つ。
2010年、ミラノ・スカラ座で行われた東京バレエ団による海外公演700回の記念公演、
由良之助を高岸直樹が、顔世御前を上野水香が演じ、喝采を浴びた名演をライブ収録。

<出演>
由良之助:高岸直樹
塩冶判官:平野玲
顔世御前:上野水香
高師直:木村和夫
判内:高橋竜太
勘平:長瀬直義
おかる:佐伯知香
定九郎:松下裕次
直義:柄本武尊
力弥:井上良太
現代の勘平:梅澤紘貴
現代のおかる:高村順子
石堂:宮本祐宜
薬師寺:安田峻介
遊女:西村真由美
与市兵衛:永田雄大
おかや:田中裕子
お才:井脇幸江
ヴァリエーション1:松下裕次
ヴァリエーション2:長瀬直義
他 東京バレエ団

振付:モーリス・ベジャール
音楽:黛 敏郎
美術:ヌーノ・コルテ=レアル
収録:2010年7月11日 ミラノ・スカラ座

◆モーリス・ベジャール
哲学者ガストン・ベルジェを父に、マルセイユに生まれる。パリでダンサーとしてのキャリアを開始した。
クルベリ・バレエを経て、1953年、エトワール・バレエを結成し、
『孤独な男のためのシンフォニー』をはじめとする創作を開始。
59年、ブリュッルの王立モネ劇場にて『春の祭典』を発表し、翌年には20世紀バレエ団を設立。
同年『ボレロ』を、67年『現在のためのミサ』を、70年『火の鳥』を創作。
87年に本拠をスイスに移し、ベジャール・バレエ・ローザンヌに形を変え、
『ニーベルングの指環』『中国の不思議な役人』など精力的な創作活動を続ける。
勲三等旭日中綬章(86)、世界文化賞(93)、京都賞(99)などを受賞。
94年、フランス学士院芸術アカデミー会員に選出された。
07年11月22日、『80分間世界一周』の創作中、ローザンヌにて死去。

◆黛 敏郎
横浜に生まれる。東京音楽学校(現東京芸術大学)卒業後、パリ国立音楽院に留学。
團伊玖磨、芥川也寸志とともに「3人の会」を結成。吉田秀和らと「20世紀音楽研究所」を設立。
主要作品としては、「涅槃交響曲」「曼荼羅交響曲」、ニューヨーク・シティ・バレエの委嘱によるバレエ『BUGAKU』、
ジョン・ヒューストン監督の映画「天地創造」、オペラ「金閣寺」「古事記」など多岐にわたり活躍。
1951年、56年度国際現代音楽祭入選、67年アメリカ映画アカデミー音楽賞候補、
59年、67年度尾高賞、70年度菊池寛賞、76年度第10回佛教伝道文化賞など、受賞多数。
97年4月10日、68歳で死去。



高岸さんの抒情表現が素晴らしいです。
一幕最後のソロは目が離せず、年輪からにじみ出るものや、回数を重ねているせいあってか、
高岸さんの元々の感受性豊かな表現力もあってか、
女性だって引退していておかしくない年齢になってなおの踊りっぷりに感嘆し、
バレエは技術だけのアクロバットではないと改めて思わせられました。

バレエと歌舞伎なんて、相反する世界のはずなのに、同じ「舞台芸術」として
こうも上手く融合してしまったベジャールには何と言ってよいやら、日本人でもないのに、どうして出来たの?と聞きたいくらいです。

歌舞伎の舞台は見たことがないですが、ベジャールの日本に対する愛情、敬意がとても感じられ、そしてまた音楽が黛敏郎とはね、
時にとても閑かな音楽で、場面場面に派手な盛り上がりやテクニックの見せ場こそないにしろ(上野さんの黄金の足は相変わらず凄いですが…)、
ベジャールが歌舞伎を初めて見た時に、魂に響いた舞台芸術の共鳴が聞こえてきそうです。

バレエではなく、歌舞伎通の人が見たら、どういう感想を述べるか分かりませんが、
日本人でバレエ好きな方なら是非見て欲しい作品だと思います。

これほど見ごたえがあるとは、予想でなかった。バレエ、音楽、振り付け、すべてが超一流!!これでバレエが好きになりました。

上野水香さんの顔世御前に感動しました。最初の出の時には若々しく愛らしい踊り、
そして塩谷切腹の後は悲痛感の漂う落ち着いた品のある未亡人としての表現力。
特に兜あらためのシーンで長い丈の打掛を着たり脱いだり、見事に操りながらの踊りが素晴らしいです。
男性ダンサーも裃をつけてジャンプもターンもするのが凄いと思いました。

全体的に歌舞伎をベースに作られているので踊り手は普段の舞台よりも表情を抑えているのですが、
抑えながらも表現される悲しみや怒りなどが素直に伝わって来ます。

一人一人の演技が全て胸に迫ります。主役の高岸直樹さんの踊りは言うに及ばず、塩谷判官の切腹のシーンの凄さ、
進退窮まった感のあるおかると勘平の演技力、そして討ち入りのシーンの迫力も、全体的に見どころは多くて目が離せません。
広重の絵が舞台装置に使われているのも迫力がありました。ところどころにお能を思わせる無音、静の動きがあるのも印象的です。

ベジャールにはあらためて感服します。バレエ好きはもちろん、お能や歌舞伎の好きな方が見ても共感できる作品だと思います。

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