あの頃映画 「事件」 [DVD]

あの頃映画 「事件」 [DVD]
一人の少年を姉が愛し、妹が愛し奪い合う…
裁く法廷、裁かれる青春!


製作年 1978年


●日本推理作家協会賞を受賞した大岡昇平のベストセラーが原作
●豪華俳優陣が迫真の演技を披露。緊迫の息詰まる裁判の審理が展開される傑作で、日本の映画賞を多数受賞した。
●野村監督他ベストスタッフで製作した意欲作。


あの頃映画 松竹DVDコレクションとは?
映画会社松竹ならではの大作映画、こだわりの映画、良質映画の数々を、今だからリバイバル。名監督・名優たちが活躍したあの頃の映画を、ご自宅で気軽に楽しめるDVDコレクションとして、100本を超える充実のシリーズラインナップでお届けします。


*この商品は、既発の商品と同内容・同仕様になります。

数年前に偶然にテレビで放映されたのを見て感動しました。
原作を読んでいないので比較はできませんが映画としては地味で噂にもなりませんが知性のある人にとっては最高傑作の一つだと思います。
原作と違うからと文句を言う人は例えば、富士山を描いた絵が実際と違うと文句を言うようなものです。
それなら富士山の写真を見ていればいいので絵という芸術を理解しないと言えましょう。
本が全てという人は本だけ読んでいればいいので、わざわざイメージと違う壊されるといいながら映画を
見るべきではないでしょう。
映画は映画という一つの芸術作品なので、原作の解釈は監督次第。観客がどうこうと言えるものではなく
映画として完成していればいいのだと思います。
その点で、この映画は完璧であり、100点満点を越えているといえましょう。

俳優がなんといっても豪華です。
画面に出るだけで重厚な存在感を示す丹波哲郎氏らベテラン男優陣は円熟の演技を見せ、主演の若手俳優はいかにも貧しい青年の渇望を表現しています。
さらに松坂慶子の妖艶さ、あでやかな美、はかなさ、大竹しのぶの無邪気を装った奥にある計算高いしたたかさ、彼女の最後の笑顔のシーンにはすごみすら感じます。
(たいていの男はこれでコロリとだまされるのかも、なんて思ってしまいます。笑)
すばらしい女優俳優をぜいたくに使ってこの映画を作った野村芳太郎監督の円熟度、完成度は素晴らしく
こういう映画を残してくれて感謝です。
人間とは何かをじんわりと後々まで考えさせてくれます。

舞台は神奈川県の厚木、平塚、寒川近辺なので、例えば小田急線の駅の風景を見れば、ほー、昔はこんなに
駅前は店も人もまばらで田舎だったのだとか、寒川と平塚の間を流れる相模川の大きな橋を大竹しのぶが
渡る場面を見れば、あ、あの橋じゃないか、とわかります。
映画の内容にも感動させられますが、同時に数十年前の神奈川西部の風景を楽しむこともでき、昭和の時代を懐かしむことのできるノスタルジックな映画です。
今よりも日本にはまだまだ夢と希望があった時代を描いていて、映画のそこかしこにそういう空気が出ているので、そこも懐かしい気がします。
映画は普段一回しか見ないのですがこの映画だけはDVDを借りたり、たまに再放送があって見たりすると更に深い味わいがあり、見方も深まって映画っていいな、人間てすごいなと思うわけです。

昨日あたりから、特定の裁判での判決を巡り、「裁判員制度」について今さらながらああだこうだと騒がれていますが、私のようなド素人が「裁判」を知るにあたっては、大岡昇平が書いたこの映画の原作ほど、最適な本はありません。「裁判」を俯瞰しながら、「人が人を裁く」ことの意味を考察した小説です。原作を読むのが面倒な人が、映画を見ることで代替するケースも、無きにしもあらずですが、これに関しては、原作でなければ絶対ダメ。映画の方は、情痴事件というシチュエーションだけをことさらクローズアップして、甘ったるいメロドラマに作り替えた、薄味の凡作です。
文学を映画化するのはいいですけど、ストーリーだけ戴いて「文芸映画」などと名乗らんでもらいたいですね。俳優の演技とか画面作りとか、映画には映画でしか出せないパワーもあるんだから、それを実現してほしい。たとえば、同じ大岡原作の「野火」などは、原作を、映画独自の世界に置き換えています。パゾリーニの「豚小屋」には、あれに触発されたと思しき場面がいくつも出てきます。また文学の映画化作品がメロドラマ風になったからといって、必ずしも悪いわけではありません。「ベニスに死す」などは、その成功例です。結局は、作る側の、志の問題でしょう。
メロドラマも含む「映画の大衆性」に関しては、世間一般に「大衆向けの娯楽映画」と「インテリ向けの芸術映画」に区分する向きもあるようですが、それって、どうなんでしょうか。脚本家の依田義賢さんは、著書「溝口健二の人と芸術」の中で、こんなエピソードに触れておられます。依田さんが「面白いものを作りましょう」と言うと、溝口健二から「重厚な芸術を」と返され、今度は「芸術映画ではいかが?」と問うと、「映画は大衆の娯楽です」と返される。「大衆娯楽にも芸術にも、どちらにも色分けできないのが「映画」だ」ということではないでしょうか。作った人がことさら「これは大衆映画だ」なんて言ったりするのは、その映画が「何らかの主義主張の、大衆向けプロパガンダである」という宣言にほかなりません。もっとも、「プロパガンダ」というのは、時間が経つと「ファンタジー」になってしまう場合が多いようです。出来が良ければ、それはそれでまた楽しいですけど。

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