ベニスに死す [DVD]
ただひたすらに美しい、愛と死の一大交響詩-。
壮麗な水の都を舞台に巨匠ビスコンティが描き上げる、究極の「美」
ドイツの高名な老作曲家アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)は静養の為に赴いたベニスで、究極の美を体現したような美少年タージオ(ビョルン・アンドルセン)に出会う。ゆるくカールした金髪と澄んだ碧眼の瞳。まるでギリシャ彫刻のようなタージオにアッシェンバッハは次第に心を奪われてゆく…。
【映像特典】
・ ベニスのビスコンティ(約9分)
・ スチール・ギャラリー
・ オリジナル劇場予告編
この映画の主人公の男は、人生で大切なものを次々と失ってきた。アーティストとしての才能、娘、若さ、健康・・。放物線を描くように落ちていく人生の過程で、彼の視線は「美」をつねに指向している。しかし、その「美」はどこか観念的で、具体性がない。
彼はベニスで美少年タジオを発見し、彼に強く惹かれる。まるで、彼の中で抽象的に存在していた美の観念が、タジオという具体となって彼の前に現れたかのように。しかし、主人公はタジオと最後まで会話をしない。二人が口をきいていたら、主人公にとってタジオは「観念的な美」の高みから「ただの人」に堕ちてしまっていたかもしれない。
タジオは所詮は生身の人間である。主人公が愛していたのは、現実のタジオ本人ではなかったと思う。主人公が愛したのは、彼の脳内で作り出された、架空のタジオではなかったか。道化のような化粧までして、自らが作り出した幻影を追う主人公は、滑稽であると同時に、果てしなく哀れだ。何よりも哀しいのは、主人公自身が、その滑稽さと哀れさをよく理解していることだ。理解していたからこそ、崩れ落ちながら狂ったように笑い出したのではないだろうか。
そもそも「生」とは、絶えず変化しつづけ、猥雑で、えてして醜い。その意味で、「美」はむしろ「死」と親和性が高い。「完全な永遠の美」があったとしても、それはきわめて結晶的で反生命的なものではないか。そう考えると、「美」を追い求めた主人公に最後まで「死」の影がつきまとったのは、きわめて必然的かつ自然な演出であるように思えた。
ラストシーンでは、金色に輝く海を背景たたずむタジオのシルエットが映る。そこから漂ってくるのは、彼岸の気配である。主人公の視線の先にあるのは、もはや現実ではなく、彼岸なのだ。病魔に蝕まれた彼の命は、彼の視線と同調するかのように、現実世界から遠のいてゆく。彼の魂は、死によって、ようやく「美」と一体化できた。私は、そう解釈した。
全編美しい映画で絵画のような印象を与える傑作です。
中でも主人公を死に誘うようなタジオ=ヴョルン・アンドレセンの美しさと
冷たい仕草が良く話題になりますが、
個人的にはやはり美少年に惑い、最後悲劇的(喜劇的でもある)に死んでいく
音楽家アッシェンバッハ=ダーク・ボガード氏の演技が素晴らしいです。
タジオを見てからの初恋の少年のような戸惑い、思い切って諦める為に
ベニスから去ろうとしたものの手違いでベニスに残ることになった時の歓喜(!)
自分の死を自覚した時の絶望…。
ほとんど台詞は無く仕草と顔の表情で表現しているのがすごいです。
この映画そのものはアッシェンバッハの一生涯を追いかけている構成でありまして
所々に挿入される回想シーンでの子供と戯れる父親の彼の姿は
その後の人生の残酷さを感じましていつ見ても泣けます。
この映画に出演した後にボガード氏は
「これ以上の演技の出来る映画はないだろう」と語ったそうですが
確かにアッシェンバッハを演じられるのに一生涯分の感情を使われたと思います。
余談ですが、指摘されるまでボガード氏が「地獄に墜ちた勇者ども」の
フリードリヒも演じられていたとは気がつきませんでした。
(全然印象が違います)
上映されてから三十数年、
ボガード氏始め出演者の大半は鬼籍に入りベニスも変わりました。
しかしこの映画の美しさはいつまでも変わらないでしょう。
今年もこの作品が無事再販されたことが、嬉しかったです。
ビスコンティ監督作品中屈指の名作。淀川長治さんのラジオ番組を聴いていた頃から絶賛されていた。
やはりビョルン・アンドレセンの美少年ぶりに感心する。彼がいなければこの作品世界は成り立たず、また彼もこの作品のためだけに生まれてきたのではと思わせる、絶妙のマッチング。映画の中でダーク・ボガードの化粧が崩れていくように、少年老い易くが世の常であり、彼がいつの間にか芸能界から姿を消したのもうなずける。人間の肉体の美はそれほどきわどい、刹那的なものだ。
そして、この作品でもう一つ尋常でない輝きを放つのがマーラーの交響曲第5番第4楽章。映画の空気を完全に支配し、映画で用いられたクラシック音楽のベスト5に入るだろう。
本作は、美と、ダーク・ボガードが体現する老いや死、時には「醜」である日常生活との対比(映像特典でビスコンティ自身が対比を強調している)とそのバランスが崩れる様を、そして美を創造する芸術家のもがく姿を描いた作品だ。そういう観点で、2人の音楽家(マーラーとシェーンベルクがモデルとされる)の論争場面も見逃せない。
病を抱えたドイツの作曲家アッシェンバッハが、ベニスへ療養中、貴婦人の子息タジオの美貌に心を奪われる、しかしベニスの街には疫病が流行っていたという設定。おじさんが、... 続きを読む
「若く、美しい」少年と、「醜く、年老いた」主人公との対比。
ブルジョワ階級の取り澄ました上品さに、じわじわ浸食してくる民衆の下司な騒々しさ。... 続きを読む
男性的でもない、女性的でもない真の美を瞳が捉えた時の人間の何とも痛ましく純粋にそれを追い求める業を如何なく描写している事か…。... 続きを読む
厚化粧が崩れながら死んでいくダーク・ボガードが凄絶です。
私は同性愛者ではないので詳しくは分からないですが、... 続きを読む
マーラーの交響曲第5番・アダ―ジェットが流れる中、静かに船が入ってくる導入部。
一枚の絵画を見ているようで、すごく美しいです。... 続きを読む
タッジオ少年の美しいこと。そこにはいかがわしさ皆無。... 続きを読む
端麗無比なタジオは知っている、グスタフが彼に恋をしていることを。
それでいて、彼は作曲家(原作では作家)に微笑みかける。... 続きを読む
もう何度観たかわからないくらい観ています。... 続きを読む
1971年の封切り時、私は16歳だった。
あれから35年の年月が過ぎ、
私は、始めてアッシェンバッハの視点でタジオを見ていた。... 続きを読む
絶対にこれが、ヴィスコンティ作品の中で群を抜いてナンバーワン!!
誰がなんと言おうとナンバーワン!! 続きを読む
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