キャビン イン ザ スカイ [DVD]

キャビン イン ザ スカイ [DVD]

『緑の牧場』(The Green Pastures, 1936)以来初のオール黒人キャストによるハリウッド映画。

良き妻ペチュニアの愛と放埒な悪女ジョージア・ブラウンの謀略の狭間で葛藤し、さらには
神の使者と悪魔の使いによる激しい争いに巻き込まれる悪党リトル・ジョーの活気に満ちた物語。
善はいかにして悪に打ち勝つのか?
"悪魔と戦うなら、悪魔自身が持っている熊手で悪魔を突き刺さなくてはならない!"
本作が監督デビュー作であるヴィンセント・ミネリ(『巴里のアメリカ人』、『恋の手ほどき』)と
エセル・ウォーターズ、エディ・ロチェスター・アンダーソン、レナ・ホーン、ルイ・アームストロング、
そしてデューク・エリントンら豪華スターによる傑作ミュージカル作品。
サウンドトラックには「Taking a Chance on Love」、「Happinness Is a Thing Called Joe」といった輝かしい
名曲を含む、喜びに満ちた名作。

信心深いペチュニア(エセル・ウォルターズ)は、心やさしいが誘惑に
弱い夫リトル・ジョー(エディー・”ロチェスター”・アンダーソン)とつまし
く暮らしている。ギャンブルと縁を切ると宣言したジョーの言葉にほっ
としたペチュニアだったが、その矢先、ジョーは、悪友の誘いで賭博
場に行き、ドミノ(ジョン・W・サブレット)に撃たれる。死線をさまよう
ジョーの前に、天使と悪魔が現れ、6カ月の生命の猶予を与えられ
る。6カ月のジョーの行動で、天国行きか地獄行きかが決まるという
ことだったが…。

MGM(のみならず、ハリウッド)の名監督として君臨したヴィンセント・
ミネリの監督デビュー作。ミネリを監督に抜擢したのは、MGMの名
プロデューサーと言われたアーサー・フリード。すでに、MGMには、
ハレルヤ [DVD]』の前例があったとはいえ、メジャー会社によるオ
ール黒人俳優出演作という、当時としてはかなり冒険的なファンタ
ジー・ミュージカルだ。撮影中、ウォルターズは、若く美しいレナ・ホ
ーンに並々ならぬ対抗心を抱いていたとのこと。悪魔の部下として、
ルイ・アームストロング、本人役で、デューク・エリントンも出演。日
本劇場未公開。

男性は、のんびりとして怠惰、女性は信心深く、肝っ玉が据わってい
る―そんな黒人夫婦(とそのコミュニティ)の描き方が、あまりに類型
的という批判があるのもわからないでもない(DVDでは、本編前に、
劇中の差別的描写が当時の一般的意識との説明文が出る)。今風
に言えば、確かに”Politically Incorrect”(政治的に正しくない)で、あ
まりに記号的な描写ということにもなるだろう。そこが、当時のハリウ
ッドの無知であり、限界だったのは確かだ。しかし、一方で、そういっ
た誤った描写で占められているにもかかわらず、作品としての魅力に
溢れていることも確かだ。

ミネリは、演劇出身らしく、短いカットの積み重ねではなく長廻しを多
用して、中断されることのない俳優たちの演技から生まれるライブ感
と雰囲気を大切に、丁寧に切り取る。そういった演出だからこそ、(白
人による類型であるにしても)黒人コミュニティの独特の味わいとのび
やかな活気が感じられるのだろう。しかも、長廻しが多いから演劇的
で映画らしくないということはない。むしろ、映画という媒体の特性をと
ことん学び(照明や躍動的なキャメラ・ワーク)、効果的に使いこなそう
というミネリのまじめな熱心さが随所に感じられる。ランプのほの暗い
照明の中、死線をさまよう病床のジョーを捉えたキャメラが、緩やかに
左へパンをすると、壁に映る影(悪魔)を捉えるワン・ショットなど、現実
と冥界がすんなり出会ってしまうというミネリらしい瞬間だ。リアリズム
で描きながら、ファンタジー(シュールレアリスム)要素を好むミネリの
嗜好が、デビュー本作から萌芽として見られるのは興味深い。

そして、もちろんウォルターズとホーンの歌の素晴らしさ。それぞれが
朗々と歌う”Happiness Is A Thing Called Joe”、”Honey in the
Honeycomb”は、胸に沁み入るような、本作の要ともいうべき名曲だ。

本DVDは、35mm原版からテレシネ、レストアされたマスターを使用
したもの。大きなキズなどはなく良好な画質ながら、若干、白黒の諧
調に乏しい感じもする。音声は明瞭。特典には、ホーン自身も参加し
ているコメンタリー、本編から削除されたホーンがバスタブ(!)で歌う
”Ain’t It The Truth”のシーンを収めた短編”Studio Visit”、予告編が
収録。

 Ethel Watersの唄、特に「taking a chance on love」が聴きどころです。その「taking a chance on love」では、いわゆるbuck and wingスタイルのBill Baileyのタップダンスが楽しめます。さらに、Eddie "Rochester" Andersonのclose footworkスタイルのタップダンスも見どころです。彼は、本職は俳優ですけれど、実に芸達者です。さらにさらに、リズムタップの父、John Bubblesのダンスが凄い。残念ながらそのダンスはタップダンスではありませんけれど。John Bubblesは、フレッド・アステアが影響を受けたほどのダンサーであり、その動きの軽やかさ、シャープさ、優雅さに比肩しうるのはマイケル・ジャクソンぐらいでしょう。お値打ちに入手できるなら買って損はありません。

いろいろなところで、部分的に引用されたのを見てきましたが、今回始めて、全編を見ました。
舞台の映画化という感じは残っていますが、有名ミュージシャンが勢揃いした、贅沢な作品。
話自体もわかりやすく面白いし、とにかく歌がすばらしい。
若かりし頃のデューク・エリントンも見れます。

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