インディアン・ランナー [DVD]

インディアン・ランナー [DVD]
兄弟の相剋をハードボイルドタッチで描く衝撃作!

【ストーリー】
真面目な兄ジョーはハイウェイをパトロールする警官。
ある日彼の温和な性格とは反対の粗暴な弟フランクがベトナムから帰ってきた。
ジョーはフランクをなんとか正業に就かせようとするが、彼の理由なき犯罪行為を止めさせることは出来ず、遂には殺人を犯してしまった弟を兄自らが追うこととなる・・・。
弟よ、社会は君の生き方を許さない。
だから、僕が君の人生に終止符を打つ。

【映像特典】
■関連作品予告編集

【スタッフ&キャスト】
《製作》 ドン・フィリップス
《監督》 ショーン・ペン
《脚本》 ショーン・ペン
《出演》 デビッド・モース、ヴィゴ・モーテンセン、パトリシア・アークェット、デニス・ホッパー

【Copy Right】 (C)1991 WESTMOUNT COMMUNICATIONS FILM JOINT VENTURE, L.P. ALL RIGHTS RESERVED.

※ジャケット写真、商品仕様、映像特典などは予告なく変更となる場合がございますのでご了承ください。

鹿は、円を描いて移動する。インディアンはそれを計算し、素早い鹿を捕らえるのだ。
足から血を流し ― 鹿は倒れ伏す。インディアンはそこにひざまづき、鹿の口に口づけし、最後の吐息を盗んだ。
鹿の素早さを譲り受けながら、彼はその死の際の静寂に ― 胸を打たれた。

「'70年代」と「アメリカン・ドリームの対極にあるもの」をキーワードにいくつかレビューを書こうと考えてきました。本作『インディアン・ランナー』は'91年公開の映画ですが、ベトナム戦争後の'70年代を描いたドラマとして、取り上げる事にしました。

兄のジョー(デビッド・モース)はハイウェイ・パトロールマン。弟のフランク(ビゴー・モーテンセン)はベトナム帰りのアウトロー。フランクは恋人のドロシー(パトリシア・アークエット)が身ごもったのをきっかけに職につき、幸せな家庭を築くかに見えたが・・・。

ブルース・スプリングスティーンの「ハイウェイ・パトロールマン」にインスパイアされたショーン・ペンが映画化を決意。初監督とはとても思えない、素晴らしい筆致で描かれた人間ドラマです。

高度経済成長の時代、日本の家庭にテレビが普及した時、日本のテレビ局のソフト供給が追いつかなかったため、大量のアメリカのテレビドラマが輸入されました。日本人たちは、テレビの画面に映し出された見たことのない風景 ― 大西部の雄大な自然や広い庭つきの一戸建てのマイホーム・・・そうしたものに憧れ、夢中になり、「海外ドラマ」の空前のブームが巻き起こりました。しかし、我々がこうしたドラマや映画の中で見ていた、立派な家に住むアメリカの家族の姿 ― は必ずしも全てのアメリカ人に言える事ではない、むしろ多くのアメリカの家族は苦悩や孤独を抱えている ― そうした「現実」を真正面から描いた作品が本作だと思うのです。

2人の対照的な兄弟、「まじめな兄」と「不良の弟」を軸にしながら、このドラマが描き出していくのは、「ばらばらになってしまった家族」です。ベトナム戦争の後遺症を背負って自暴自棄に生きる弟・フランクのみならず、幸せな家庭を築いているかのように見えるジョーもまた、妻がヘロイン中毒。そして、兄弟の父を演じるチャールズ・ブロンソンの、端役ながら静かに孤独と向かい合う、抑えた演技も心に残ります。
妻に先立たれ、やがてショットガンで自殺するという ― ブロンソンが演じてきた数々のキャラクターのイメージを粉々に打ち砕くショッキングな展開。ショーン・ペンはこの映画で、アメリカが描いてきた「虚像」を破壊しようとしているように思えます。ブロンソン演じる父が、死の間際に見ていた8ミリの映像には、「一戸建ての庭」で「西部劇」ごっこをする、ありし日の小さな兄弟が映し出されていました。

「アメリカの家族」のイメージの解体 ― こうしたテーマが映画の中で描かれるようになったのも、'70年代でした。スピルバーグの初期の作品や、「クレイマー、クレイマー」などが代表的なものだと思います。

やがてフランクは衝動的に殺人を犯してしまいます(殺される役がデニス・ホッパーというのも意味深)。ブロンソン ― 「アメリカのマッチョイズムを体現した男」やホッパー ― 「アメリカへの反抗を企てた男」たちへの挽歌が、この映画のサブテーマになっている事も見逃せません。
そして、フランクを追う兄・ジョー・・・。
優れた映画は、どんなに「リアル」に創られていても、どこかで「魔法」が訪れる瞬間 ― ファンタジーが存在します。
兄の前で、車から出てきた弟の、その姿は・・・涙を禁じえないシーンです。

鹿の習性を知り尽くしたインディアンの狩人が、倒した鹿に不思議な共鳴を見出す ― タイトルの『インディアン・ランナー』は、自らの弟を追わなければならなくなった兄の、一見対照的に見えて魂の底で共鳴し合う、兄弟の絆と哀しみを表現した、とても切ない言葉だと思うのです。

真面目に仕事をし、家族だけでなくすべての人を大切にする兄ジョー、それとは対照的な人生を送る弟フランク。兄はそんな弟にも惜しみなく愛情を注ぐのに、弟は応えたいという思いはあってもうまくいかず。
兄役のデビットモース、弟役のヴィゴモーテンセン共に、心の葛藤を素晴らしい演技で魅せてくれます。
何でそこまでと兄にも弟にも感じました。
最後まで切ないですが、心を揺さぶられる作品です。

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