上海バンスキング [DVD]

上海バンスキング [DVD]
昭和11年の夏、前借借金(アドバンス)から逃れようとジャズのクラリネット奏者の波多野四郎は、恋人の正岡まどか(マドンナ)とともに上海に流れてきた。マドンナは横浜でダンスホールを経営する父親をフランスに留学すると欺いてやってきたのだ。迎える四郎のジャズ仲間、バクチ好きのトランペッター・バクマツ、その妻で中国人のリリー、彼女に横恋慕する地元の米人・ラリー、左翼崩れの弘田、軍の白井中尉など植民地上海ならでは人間模様の中で、破天荒なジャズメンたちのバンド生活が始まる。しかし、戦況は悪化、ジャッズは次第に追い詰められ、それぞれの登場人物たちは昭和史の流れの中で自らの運命を受け入れなければならなくなる。1930年代から40年にかけて日本の暗黒時代を逃れようとしたジャズメンたちに託して描いた傑作ミュージカル。

損なわれていません。舞台を見損ねて残念だったので、とても楽しむことが出来ました。

私は、オンシアターになった自由劇場のこの公演を、神戸で、半世紀以上前に見ました。初演時の'79年には、楽器演奏なんて出来なかったと言われる皆さんも、見事なジャズバンドとなっていました。一度見た人が、感動し、また見たい、友人も誘って、また、見に来る。劇場も、大きくなり、やがて、全国を回って、'94年にとうとう、千秋楽。15年に渡って上演された名作のDVD。演劇は、生で、その時に劇場で見るもの。映像となってしまうと、どうしても、面白み、その良さが、半減する。しかし、風の様に消えてしまうには、余りに、もったいない、次代の人にも見て欲しい作品だと強く思う。松坂恵子、風間杜夫で、映画にもなった。それだけの事がある作品であり、脚本。でも、本家本元は、吉田日出子、若き笹野高史さんらが、演じたこの芝居。リヴァイヴァル、再演もされました。難しいだろうが、次代の人が、演じても然るべき作品だと思う。戦争、差別、音楽、お金、人間について、国とか言うものについて、そして、生きるという事について、深い洞察と、詩が、歌が、織り込まれています。お芝居、好きな人なら、見て欲しい。もちろん、若かりし時に、見た人も。

映画は大きな画面で暗い映画館で見るべきで、芝居は舞台の足音が聞こえてくるような規模の芝居小屋で見るべきだ・・・・
客席の照明が落ちて、観客のざわめきはだんだんと静かになり、舞台に照明(あかり)が入ってくるードキドキする瞬間!
そういう意味で博品館は六本木の自由劇場よりは広いけど、よい小屋だった。
場内の熱気、劇団員により奏でられる懐かしいジャズの数々、「マドンナ」まどかさんの最初の歌
「貴方とならば」今にも音程はずしそうな独特の歌声と唄いかたにゾクゾクして・・・すごい芝居でしたよ!!
興奮してロビーに出ると、そこにはオール劇団員による歌声の送り出し!
観客と役者双方で拍手しちゃいました!
観客と舞台の一体感のすごさ、幸せでした。
で、DVDを発見すると当然買い。

勿論、同じ感動をとは期待していない。
でも、よりよい鑑賞方法であの記憶、熱気をよみがえらせたいというときは・・・
芝居をDVDで見るにはコツがいる。
まず一人で、もしくはどうしても見たいという人とだけで観る。
上映中のおしゃべりは禁止(だから一人がよい)
ものを食べる、飲む禁止。
つまり「お茶の間」雰囲気を消すことです。

ところが、NHKめ、場の切り替えに余計の説明と映像入れてくれちゃって、余計なんだよね!
時空列を説明するのはテロップだけでいいの!
「1937年7月7日、(昭和12年)日中戦争始まる」とかで観客かちゃんとフォローしていきますよ。
斉藤りん(漢字変換できないので平仮名)の原作だってそうなってるし・・・

同じ時代を扱い、やはり歌で綴った井上ひさしの芝居「きらめく星座」だって時空列の説明は
場が切り替わるときの背景に出てくるだけだけど、せまりくる太平洋戦争、窮屈になっていく生活は
はっきりわかったです。因みにこの芝居の最終場は昭和16年12月7日(わかりますね)

その窮屈になっていく日本を逃げ出して「犬と中国人」以外には自由な街、魔都上海で自由にジャズをやろうという男たちと女たちの芝居なのだけど、「コツ」をつかんでる筈の私が全然のらなかった。
マドンナ吉田日出子の歌にはうっとりするんだけど、芝居に入り込んできたなという時にNHKの映像と音声が入る

そういうのを有効に使う手もないわけじゃないけど、これに限って言えば失敗。

「あれ、まあ」と思って、映画の方を観てみたら、映像に当時のニュース映画とかニュース映画風映像とかを
はさんであるので、違和感はない。
松坂慶子も志穂美悦子も悪くはない。
これはこれで良い映画だった。(風間杜夫がクラリネット吹くとチンドン屋さんに見える)

でも、やはりあの歌声、マドンナは吉田日出子しかいないでしょう。
串田和美が監督して、自由劇場の団員、もちろんマドンナは吉田日出子の映画がDVDにならないかな
と願う、希望する、待ってる・・・・・

でも今回、30年振りに観て思ったけど、これってもともとは暗い話なのですよね。
「人を不幸にする夢が多すぎる」街上海で消えていくジャズ男、ギャング男、でも女たちの強いこと!
「男はそん時、そん時、景気のいい男にじゃれるほど無神経じゃないんだ」ってシローは言うけど、愛する男を「あなた中国人なる」、でも、行ってしまった男を待つリリーも、なんでもやって生きていこうとするまどかさんも強いですね。

そして、暗い話にもかかわらず、場内を熱気に包む数々のまだハッピーな響きを持っていた時代のジャズナンバーの
なんと力のあること!

そういう事を再認識させてくれたから、★3つはつけましたよ。
串田和美の映画が見たいな

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