ザカリーに捧ぐ : 松嶋×町山 未公開映画を観るTV [DVD]

ザカリーに捧ぐ : 松嶋×町山 未公開映画を観るTV [DVD]
日本未公開の海外ドキュメンタリー映画を厳選して紹介する番組
「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」にて紹介された作品のDVD 化。
作品の選択は米在住の映画評論家で現代アメリカを語る第一人者である町山智浩氏。
(映画本編のみ収録)

【収録内容】
「DEAR ZACHARY」

2001年に殺害されたアンドリュー・バッグビィの子供の頃からの友人である監督による作品。
アンドリュー・バッグビィは、ペンシルヴァニアの駐車場で殺害される。
その第一容疑者であった彼の元ガールフレンドは、
アンドリューの子供を妊娠・出産し、ザカリーと名付ける・・・。

※仕様は予告無く変更になる場合がございます

≪Copy Right≫
(C)2008 Kurt Robert Kuenne

TVで放映された時に拝見しましたが、
実話(ドキュメンタリー)だけに、
見終わった後の何とも言えない
絶望感と悲しみに打ちひしがれます。

以前何処かで何方が「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
と比較されていましたが、全くその通りだと思いました。

以上の性質から、正直、リピートしてみれる類では
ありませんが(エンターテイメントでは全くなく
正にドキュメントなので)色々と考えさせられる作品でした。

見る時は、自分の心理状態を良く考慮された上での
鑑賞をお勧め致します。

<ネタバレしてます>

これを観るひとは皆「最悪の事態だけは…どうか神様!」と祈る様な気持になってゆくと思う。
予め用意されていたように訪れる悲劇は皆の胸を引き裂くであろう。
またニュースでは報道されない場所で賢明に勇敢に闘い続ける被害者側のひとびと。
彼らの健闘ぶりを見ているから尚更に、観客も世の無情に深く傷つく。
アンドリューのご両親はカナダの子ども達を救うため遣わされた天使なのかもしれない。
救い主自身は地獄の苦しみを味わった。
それを代償にして多くの小さな命が救われたはずだ、と思いたい。

内容その他については他の方が既に書いていらっしゃるので、
私はこの映画を観て湧いた疑問を挙げておきます。

1.カリフォルニアっ子であるアンドリュー(被害者)が
  何故、わざわざカナダの大学へ入らねばならなかったのか。
  
*この映画を観るまで「メモリアル大学」については聞いたことすらなかった。
 州内にもアメリカ国内にも良い大学は沢山あるのに、わざわざ他の国へ行く必要性は? 
 彼がシャーリー(アンドリューを殺した女性)と出会ったのもこの大学なので、
 ここに入学していなければ、そもそも悲劇は起こらなかったかもしれない。

2.何故アンドリューは医師になることに固執していたのか。

*アンドリューのご両親の立派さについては、まったく否定のしようも無いほどなのだが、一方で
 優等生と言われていたアンドリューが「両親の期待に応えられていない。」と悩んでいたことが
 友人の証言からわかる。一浪して他国の大学に入るほど医師への道にこだわった理由は・・・?
 (ちなみにご両親は、アンドリューの遺児であった孫のザカリーに対しても
 「きっと将来はお医者さんね。」と言っているが・・・。)
 また、当初アンドリューは外科医志望だったようだが、「自分に向いていない」と
 小さな町のホームドクターへと進路変更している。

3.アンドリューの元フィアンセ(ヘザー)がアンドリューと別れた理由が不明。
*この映画では、へザーはアンドリューに対する賛辞ばかり述べているが・・・
 へザーがアンドリューを振ったのであろう、ということは容易に想像がつく。
(映画の中でも多少、うっとうしそうに証言しているような印象が無きにしも非ず。
 ちなみにヘザーも医者。)
 へザーと別れなければ、アンドリューがシャーリーと付き合うことも無かったと思える。

4.シャーリーが医師を目指したのは何故なのか?
*メモリアル大学医学部に在籍はしていたが、どの教授からも推薦状をもらえず、
 40歳を過ぎてもなお、どこの病院にも就職できていなかったほどだった。

5.(シャーリーはアンドリューと出会う前に2度離婚し、3人の子がいたが、)
  シャーリーの前夫達や前夫との子供達が、アンドリューやザカリーのような悲劇に
  遭わずに済んだのは何故なのか。

6.シャーリーと別れた際、アンドリューは彼女が妊娠していることを知らなかったのか?
*アンドリュー以外の男性には、自分を捨てようとすると「あなたの子を妊娠している」と
 (たとえ妊娠していなくても)脅迫メールや電話を執拗に送り続けている。
 おそらく前夫達とも「できちゃった結婚」であろうことは想像に難くない。
 アンドリューに対しても同じ手を使って引き止めようとしたとしても不思議は無い。
 (実際、彼の子「ザカリー」を妊娠していたわけだし。)

7.もしアンドリューがシャーリーに殺されることなく、二人が穏当に別れていた場合、
  ザカリーの処遇はどうなっていただろうか。
*アンドリューのご両親が、孫であるザカリーの親権を必死に取ろうとしたのは、
 何といってもこの子が「亡き息子の忘れ形見」だからである。
 もしアンドリューが、シャーリーの妊娠を知っていながら彼女を捨てるような男性で、
 また、シャーリーがトラブルを起こさずに黙って身を引いて独りで子を産み、他人の手を
 煩わせずに気丈に育てるような女性だったとしたら、そもそもアンドリューのご両親が
 ザカリーの存在を知ることも無かったかもしれない。  
 
8.カナダの裁判は、何故あんなに段取りも進行も悪い/遅いのか。
*被害者・容疑者を始め、関係者がすべて英語母語話者なのに「裁判での使用言語を英語/仏語
 どちらにするか。」というだけのことで審理をし、結局その日はそれ以外何もしない、という
 ところからしてユル過ぎるし、他にもいろいろとお粗末過ぎる・・・。

9.カナダの判事や精神科医等は、シャーリーからの報復を恐れていたのではないか。
*病院への就職は果たせていないものの、一応シャーリーも「ドクター」と呼ばれる身であり、
 それなりの頭脳の持ち主ではある。非常に計算高く、弁が立ち、プライドも高い。
 ただ、過去の様々な行動や周囲の証言から、相当厄介な人物であることは明らか。
 こういう人間に有罪判決を下したり、精神異常が認められる旨の診断書を書き、本人に不利に
 なるようなことをした場合・・・と考えると、司法関係者ですら自分(および家族)の身の安全が
 心配になってしまうのも、わかるような気がする。

10.この映画で成功をおさめ、名を上げてしまった監督の心境は?
*「小学1年生の頃からの親友」と言いながら、高校卒業以降のアンドリューについては
 まったく知らなかったようだが・・・。 
 この映画はあくまでも「アンドリューの遺児ザカリーのため」に撮影した、ということだが、
 本作以前には特筆すべき実績が無く、結果的にはこの映画(の基となった悲劇)のお陰で
 プロの映画監督としてやってゆけるようになった、という印象を受けるので・・・。

尚、死刑廃止に踏み切った国の多くは「人道的配慮」を表向きの理由に挙げているが、
「冤罪で死刑を執行されてしまった人達のことが表沙汰となり、問題となってしまったため。」
という、お粗末な裏事情もあることを付け加えておく。

期待はずれ↓ 松島×町山の評価? ガッカリ!全然泣かない映画でした。

殺された友人の息子の為に父の生前の人柄を知ってもらおうと撮った作品。内容はさておきドキュメンタリー作品としての高い評価は控えたい。もともと個人的に作っていた物が劇... 続きを読む

東京MXTVの放送を観れない環境の者としては、松島さんと町山さんのトークを全て収録してほしかったです。... 続きを読む

【この商品に関連する動画はこちら】


同じカテゴリにある他の記事

みんな誰かの愛しい人 [DVD]
ロボット [DVD]
菊次郎の夏 [DVD]
アイドルを探せ(1963) [DVD]
あの頃映画 「大忠臣蔵」 [DVD]
美空ひばり DVD-BOX 6
モーリス HDニューマスター版 [DVD]
フォーエバーフレンズ [DVD]
あの頃映画 大島渚 DVD-BOX 3
コーラス メモリアル・エディション [DVD]
南太平洋 (スペシャル・エディション) [DVD]
ザカリーに捧ぐ : 松嶋×町山 未公開映画を観るTV [DVD]
あの頃映画 君の名は DVD-BOX
あの頃映画 「キネマの天地」 [DVD]
海から見た、ニッポン 坂口憲二の日本列島サーフィン紀行 最終章 [DVD]
佐藤真 映画の仕事 [DVD]
世界名作映画全集 コレヒドール戦記 [DVD]
【映画チラシ】トイストーリー2
自由の幻想(1974) [DVD]
世界の航空戦争映画名作シリーズ 大空の戦士―サンダーバード [DVD]