インド夜想曲 [DVD]
あの感動との再会を
新たな感動との出会いを
ユニバーサル 100周年
ユニバーサル シネマ・コレクション DVD
『ベティ・ブルー』のジャン=ユーグ・アングラード主演、インドを舞台にした眩惑のミステリードラマ!
【キャスト】
ジャン=ユーグ・アングラー/クレマンティーヌ・セラリエ/オットー・タウシグ/ディプティ・タヴェ
【スタッフ】
監督:アラン・コルノー
制作年:1988年
(C) 1989 StudioCanal / Cine Cinq / TF1 International. All Rights Reserved.
※映像特典、商品仕様、ジャケット写真などは予告無く変更となる場合がございます。
作品自体の評価は五つ星です。アントニオ・タブッキの原作をアラン・コルノー監督が忠実に映像化しつつ、タブッキの他の短編「マドラス行きの列車」も自然に組み込まれています。以前ユリイカに掲載されたインタビューでタブッキも好意的に評価していました(「原作の行間を無理に映像で埋めずに、そのままにした」こんな感じでしたかね)。
名作としての評価が確立している作品ですので、商品としての品質についてレビューしたいと思います。私はLD時代からこの作品をコレクションしていますが、2003年の初DVD化商品もこの商品もLDよりはマシですが画質は良くないです(本商品はレターボックス収録だった2003年版と違い、スクイーズ収録されており若干の画質向上が認められ、リンギングも幾分マシにはなっていますが・・・)。また、おそらくは25fpsのPALマスターから不規則なテレシネで29.970fps化されており、プレーヤーで正常にインターレース解除できないのも画質面で不利な要素です(私の視聴環境ではtffでのインターレース解除でも逆テレシネでも、余分なフレームの混入による輪郭線のずれや残像が見られます)。
まあジェネオンさんが発売してくれているだけでもありがたい作品ですが、ファンとしてはHDマスターの23.976fps(2-3プルダウン)収録での再DVD化(BDなら最高ですが)を期待します。
小夜啼鳥(ロシニョール)と云う名の男が足を踏み込んだその世界は、夜よりも深く昏い闇を湛え彼を待っていた・・・謡も翼も忘れ、彼はただ呆然と、精神世界の波間へ呑み込まれてゆく・・・。
この映画を初めて観たのは、もう十数年も前、30歳そこそこの頃だったと思う。その時も面白いとは思ったのだが、強烈に心に焼きつく、というほどの印象はなかった。まだ人生経験も浅かった自分は、この映画に共鳴できるほどのレセプターがなかったのだ。だから我知らず、心の片隅に引っかかっていた、そんな映画だったのだろう。
再見することになったきっかけは、ショップのDVD1000円均一セール。物色していた時に偶然このタイトルが目に留まって、パッケージを手にしたとたんにむらむらと再見したい思いが沸きあがってきたのだ。まさに手招きされるかのように・・・そう、今回はヤバかった。中毒になりそうだ、この映画。
ストーリーは至ってシンプル。ジャン=ユーグ・アングラード演じる主人公・ロシニョールが、失踪した友人を探しにインドへやってくる。彼を知る人々を訪ね歩くも、その行方は杳として知れず、次第にその存在そのものが曖昧になっていく・・・異郷の地を彷徨ううち、いつしか主人公は、自分自身の影を追い続けていることに気づく・・・。
イタリアの作家、アントニオ・タブッキの同名小説を、『真夜中の刑事』や『セリ・ノワール』で知られるフレンチ・ノワールの名手、アラン・コルノー監督が映像化。いま思い出すと、初めてこの映画を観たきっかけは、「失踪者を探す」という、一種の探偵小説のプロットで創られた作品として紹介されていたからだった。まあ、まっとうなハードボイルドではないことは百も承知で観たわけだが(笑)、アラン・コルノー本人もインタビューで、「タブッキの小説はフィルムノワールだ」と言っているので、その解釈は決して間違ってはいないのだろう。
しかし、この映画の魅惑的な部分はミステリー的な謎解きではない。というか全くその逆である。異郷の地・インドに足を踏み入れた主人公の目の前に、幾重にも垂れ下がる未知のヴェール。糸をたぐればたぐるほど、ぼやけてゆく友人の実像。むせかえるような熱気。鳴り響く古代の音楽。人種の坩堝。浮遊する死の臭い。謎めいた会話。あまたの宗教が共存する混沌とした精神世界は、肥大化する迷宮となって主人公を押し包み、そのはらわたの奥深く引きずり込んでゆく・・・。
精神世界の闇を描いた映画は数多くあるが、そうした作品は難解なものが多い。本作はシンプルでありながらも、存在というものの不確かさや、精神世界の底知れない深さを実に蠱惑的に描き出していて、「何か」が起こるわけではないのだが、つい見入ってしまう不思議な魅力をもっている。
合理主義を象徴する西洋が、精神主義を象徴する東洋に迷い込むことで、その殻を剥がされ、どろどろに解けてゆく・・・そうしたメタファーを内包した映画でもある。
インドのような特異な世界と遭遇した西洋人には、2種類のリアクションにはっきり分かれるようだが、監督のコルノーは夢中になってどっぷりはまってしまったらしい。一方、主役を演じたアングラードは、カルチャーショックにとまどい続け、インドに滞在していること自体が相当の苦痛だったようだ。奇しくも、主人公の心理と俳優の心理が同調する形になったという。
この映画は、様々な読み方ができる作品で、主人公を心の迷宮へと誘ってゆく人々と出逢う、一種のロードムービー幻想譚として観る事もできる。「死をただ待つしかない無数の人々」が横たわる病院で、心臓の神秘に取り憑かれた医師。神智学者の協会。古代の神殿で、そして海辺の教会の礼拝堂で主人公が感じる神秘的な存在の気配・・・。中でも、主人公が列車の中で出逢った老人との会話は、人間の存在の脆弱さが露わにされていく例え話で満ちていて非常に面白かった。
夢と現実、生と死が混沌と交じり合った世界、人間という大海の波間を彷徨う主人公を捉えたカメラが本当に素晴らしいのだが、この映画の中に映し出される群集はエキストラではないのだ。中でも強烈に印象に残るのが、深夜の駅の廊下や待合室で雑魚寝をする人々の群れ・・・一見すると駅に殺到したホームレスかと思うのだが、これは翌朝の列車に乗るために駅で一夜を明かしている人々なのだそうだ。布にくるまった屍体の海のようにも見えるその中を一人歩いてゆく主人公の姿は、初見の時から筆者の脳裏に焼きついて離れないシーンだった。
また、主人公が出逢う年齢不詳の占い師の女性・・・これが怖い。
おそらくその異貌から、一種の障害者だろうと思われるので差別的な表現になってしまうのが躊躇われるが、初めてこの映画を観た当時は、インドの幻想的な世界観を出すために特殊メイクで作ったキャラクターかと思ったほどの異形だった。
監督のコルノーによると、インドにはこうした異貌の人々がたくさんいる、とのことで、この映画に出てくる女性も、ラダ・バイという名の実在の占い師だそうなのだ。彼女に額に触ってもらい占うこのシーンは、アングラードにとって最も恐怖と苦痛に満ちた撮影だったという。
アラン・コルノーは、フィルム・ノワールの監督として高く評価された一方で、東洋的な神秘性を持った映画も撮る監督だった。中世の音楽家を題材にした『めぐり逢う朝』では、音楽を奏でると死んだ家族の霊が家に帰ってくる・・・という不思議な描写があった。映像も、「日本の水墨画を意識して」撮影したというユニークなフランス映画で、これも筆者のお気に入り映画である。
しかし、こんな渋い映画が廉価版で手に入るとは、これまた不思議な時代になったものだ。
ぜひとも、あなたの精神世界への片道切符に・・・。
売り文句にミステリーと書かれていますが、どっちかと言うと紀行物でありそして哲学的な物語でミステリーと言うよりも「ヘンゼルとグレーテル」のように手がかりを辿っていく寓話的な物語です。
原作は文豪アントニオ・タブッキの同名小説です。
フランス映画界の重鎮アラン・コルノーは主にフィルム・ノワールで有名ですが今回は一転して重厚かつ瞑想的な造りを目指しており、全篇を通して描かれるインドのたゆたうような独特な雰囲気はとても神秘的で
見ている者を不思議な気持ちにさせてくれます。
そして出来不出来(笑)で有名なアングラードの抑え目な演技が物語にマッチしていてとても素晴らしいです(いつもこんな風にしてくれればいいのに・・・・)。
私的には寝台列車で同席するユダヤ人の医者が語る「輪廻転生」のお話しが印象的でした。
小説は読んだことは無いのですがどうやら映画と同じで明確な答えは用意されておらず人によっては「退屈な上最後は肩透かし」と捉えられそうですが、むしろ答えを感覚的にし不明瞭、抽象的にすることで独特な余韻と響きを残すことに
成功していると思います。
インドのまばゆい風景を感じたい時には勿論、たまにはゆったりとした気分になって「答えの無い問題」と静かに向き合いたいと思うときには最適な映画です。
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