CURE キュア [DVD]

CURE キュア [DVD]
憎悪は催眠で覚醒する

●サイコ・サスペンスの名手、黒沢清監督の代表作
●2001年カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作品●荻原聖人が1997年日本アカデミー賞助演男優賞ノミネート

■ストーリー
被害者の胸に文字が刻まれるという猟奇殺人事件の謎に迫る、ひとりの刑事の姿を描く。


■キャスト
役所広司、萩原聖人、うじきつよし、中川安奈、洞口依子

■スタッフ
監督・脚本:黒沢清

 美しい海岸の砂丘のシーンからこのサイコ・サスペンスは始まる。

自分の名前も思い出せない男・間宮(萩原聖人)は、そこで一つ目の殺人教唆を犯す。

それは、医大の精神科の学生だった間宮が、催眠術を使って人々の心の奥に潜む狂気を呼び覚まし、

潜在的願望を開放して<CURE/癒し>するという行為だった。

 その猟奇殺人犯を追う刑事の高部(役所広司)は、事件を追っていくうちに、自らが抱える不満を表出していき、

皮肉にも癒されていく。高部には、精神を病んだ妻がいたのだ。

もちろん高部は妻を愛していたが、心の底では、疎ましくも感じていたのだ・・・。

 誰にでもある潜在的不満。現代のストレス社会にあって、それは否定できない事実である。

誰もが心に満たされぬ思い、癒されぬ自分を抱えている。

そんな心の隙間にスルリと入り込み、眠らせていた怒りや黒々とした得体の知れぬ怒りを解き放つ。

観る者をぐいぐい引き込んでいく緊張感のあるストーリー展開に、いつの間にか魅せられて行く。

やがて高部の妻が空っぽの洗濯機を回す音が耳から離れなくなる。そして、追い討ちをかけるように間宮は、

『あんた、誰?』『おぼえてないよ』『あんての話し、聞かせてよ・・・』と、不気味に人を駆り立てる。

 やがて高部は、間宮を拘留し尋問を続ける。

しかし間宮は、今まで癒した誰よりも、刑事の高部に救済者としての資質があることを見抜いた。

そして、逆に高部を不安と苛立ちの極致へと追い込んでいくのだった・・・。  

 黒沢清監督は、アントン・メスメル(メスマー)の催眠療法や動物磁気をモチーフに、異色のサイコ・サスペンスの世界観を作り上げている。

何気ないクリーニング店の会話、ファミレスでのウエイトレスとのやり取り、そして路線バス。

何れも同様のシーンが二度出てくるのだが、一度目と二度目では、その意味する所は全く違うものに成っている。

特に、ラストのファミレスのシーンの引き画は怖い。接客で高部に接したウエイトレスの片手には・・・。

あ〜、怖いですねぇ怖いですねぇ。

このレビュー・タイトルのコピーが、『サイコの最高峰』。

あー怖いですねぇ。

黒沢清が撮った最近のホラーはお子様色が強く、くだらなくてまともに見ていられないのだが、本作に関していえばミステリー好きの方も堪能できるサイコ・サスペンスに仕上がっている。なんといっても記憶喪失の男・間宮邦彦を演じた荻原聖人が抜群の存在感を見せている。「あんただれ」「ここはどこ」「あんたの話を聞きたい」こんな相手をおちょくった会話で質問をはぐらかし、ライターやコップの水を使っていつのまにかに話相手を催眠術にかけてしまう様がなんとも憎たらしい。

読心術にも長けているらしい間宮は会話するだけで相手の深層心理を読みとり、催眠術をかけて殺人実行にまで導く凄腕のマインド・コントローラーという設定。と、ここまでと凡百のミステリーとなんら変らないのだが、間宮を追い詰めるタタキあげ系刑事高部(役所広司)が催眠術にかかっているのか否かをあいまいにぼかし、その謎をラストまでぎりぎり引っ張っているため、夜中から見はじめても逆にだんだんと目がさえてくる非催眠的面白さが魅力の1本となっている。

口には出さないものの、「こいつだけはぶッ殺す」と心の中でひそかにツイートしているにっくき人間の一人や二人が誰にでもいるはず?そんな日常生活の中に潜んでいる“魔”を催眠術という小道具であぶりだした黒沢演出が特に冴えている。衝撃のラストがまたいい。はじめ見た時は小さすぎてよくわからなかったのだが、ウェイトレスが手に持っている物体が何か判明した途たん、霧がはれるように謎が解明するオチの持っていき方が絶妙なのだ。

邦画のサスペンスホラーの中ではトップレベルの怖さ。

モンスターに襲われるよりも、自分も他人も含めて「人間の精神」こそが、最も不可解で恐ろしいものだという事を再認識させられる内容。

「あんなに簡単に催眠術に掛かる訳がない」という批判もあるが、この作品の恐怖の本質は、「人が誰でも潜在的に持っている他者への殺意は、きっかけがあればすぐにでも顕在化する」という点にある。つまりあの伝道師や催眠術はただの「きっかけ」でしかなく、「殺意の象徴」という存在でしかないのだ。そこを見誤るとこの作品の「恐怖の本質」も理解出来ないと思われる。

日常の中に何の前触れもなく顕れる殺意という非日常。その描き方が巧い。

黒沢清監督作品はどれも好きでお気に入りなのだが
個人的に一本選ぶとこの作品になる。... 続きを読む

次々と人が殺されていく。しかも被害者は首をX字に切り刻まれている。加害者はすぐに捕まるが、被害者毎にバラバラ。みな「殺したかった」ことは認めるが、加害者達の間に何... 続きを読む

ある地方都市で、奇妙な殺人事件が続発する。被害者は殺害される前か後で、刃物で頸部から胴体にかけて大きく「×(バッテン)」をつけられる。死んでいなければ、傷をつける... 続きを読む

スカパをVHSに録画しておいたのを何度も見たのですが、そろそろVHSテープを出すのがおっくうになり、とうとうDVD購入しました。... 続きを読む

日本らしくない、本格派のサイコスリラー。
よい意味で、終始重苦しい雰囲気で物語は進む。重厚な音楽も実に心地よく煽る。... 続きを読む

役所広司演じる刑事が萩原聖人演じるメスメリズムと催眠術を駆使する連続猟奇殺人の”犯人”を執拗に追う。... 続きを読む

最初映画館で見てものすごい作品だなと思った
ところがテレビで見たらそうでもなかった
どうも映画館で見た方が迫力あったなあ... 続きを読む

犯罪の動機や犯罪手法のディテール等は明らかにされないのでそういうところが気にかかる人は入り込めないかもしれない。... 続きを読む

んーなかなか独特な雰囲気のとても怖いサイコホラーでした

霊とかはまったく出てこないんですけど... 続きを読む

いや〜面白かった〜 間違いなく黒沢の最高峰 セブンを超えるサイコサスペンスです
低俗な日本映画やサスペンス映画が増えていく一方... 続きを読む

【この商品に関連する動画はこちら】


同じカテゴリにある他の記事

世界名作映画全集121 我が家の楽園 [DVD]
<あの頃映画> ゼロの焦点 [DVD]
東映映画で歌う美空ひばりの世界 第壱巻 [DVD]
フー・アー・ユー ? [DVD]
あの頃映画 「息子」 [DVD]
7月4日に生まれて スペシャル・エディション [DVD]
韓国映画 きみはペット ナビゲートDVD
あの頃映画 「江戸川乱歩の陰獣」 [DVD]
ヒート プレミアム・エディション [DVD]
あの頃映画 「遥かなる山の呼び声」 [DVD]
あの頃映画 「親鸞 白い道」 [DVD]
劇場版 名探偵コナン 時計じかけの摩天楼(Blu-ray Disc)
あの頃映画 「愛と希望の街」 [DVD]
アパートメント 【ベスト・ライブラリー 1500円:ロマンス映画特集】 [DVD]
映画ドラえもん のび太の恐竜 2006(スペイン語) dvd / Doraemon Y El Pequeno Dinosaurio[import]
into the「G」II ~映画『GANTZ PERFECT ANSWER』ナビゲートDVD~
Oh!透明人間 [DVD]
DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう? スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]
あの頃映画 「家族」 [DVD]
東映映画で歌う美空ひばりの世界 第弐巻 [DVD]