ガルシアの首 [DVD]
メキシコの荒野に散った男ベニーの生きざま!!
暴力描写の巨匠、サム・ペキンパー渾身の一作!!!
<キャスト&スタッフ>
ベニー…ウォーレン・オーツ(内海賢二)
エリータ…イセラ・ベガ(此島愛子)
監督:サム・ペキンパー
製作:マーティン・バウム
製作総指揮:ヘルムート・ダンティン
原作:フランク・コワルスキー
脚本:サム・ペキンパー/ゴードン・ドーソン
撮影:アレックス・フィリップ・Jr.
音楽:ジェリー・フィールディング
<ストーリー>
メキシコの大地主は自分の愛娘を妊娠された男、ガルシアに100万ドルの賞金を懸けた。賞金の匂いを嗅ぎ取った酒場のピアノ引きベニーは、自分の情婦エリータからガルシアが既に死んでいることを聞き、ガルシアの首を求めて旅に出るが・・・。
<ポイント>
●監督は、スローモーションを駆使した究極のバイオレンス描写で観る者を圧倒した鬼才サム・ペキンパー。
●『ワイルド・バンチ』『さすらいのカーボーイ』のウォーレン・オーツ主演で贈るハードコア・バイオレンス。
※日本語吹替音声は現存するテレビ放送当時のものを収録しております。一部吹替の音源がない部分(計約10分)はオリジナル音声(字幕スーパー付)となっております。
●封入特典:復刻版映画チラシ
<特典>
●オリジナル劇場予告編
●音声解説
久しぶりに観たが、やはり面白い。
原題はBring Me the Head of Alfredo Garciaで、文字通りガルシアの首の巡っての壮絶な殺し合いが展開する。
しがないバーのピアノ弾き、ウォーレン・オーツが彼の情婦でガルシアとも関係があった売春婦のイセラ・ベガを連れての道行きは、最初のピクニック気分がヒッピー風のバイカーたちの出現で暗転し、2人のその不吉な結末が予感されるようだ。
お約束のペキンパーのスローモーションと容赦のない銃撃戦と暴力。
メキシコの乾いた大地を走る信じられないようなボロ車と最後までその顔を見せることのないガルシアの首とそれにたかる蠅。
死に行くものも極悪人から罪のない家族まで非情だ。
1974年の公開時は特にアメリカでは不評を買ったようだが、間違いなくペキンパーの傑作の一本だ。
「アルフレッド・ガルシアの首をもってこい」という強烈な題名に引かれて、学生時代に何度となく再映の映画館を探したものだ。
今回久々に観てサム・ペキンパーの男の美学、哲学のようなものに胸をうたれた。前半は既に死んでいるガルシアの墓をあばいて首ものにするチョットせこい方法で一攫千金を狙う男(ウォーレン・オーツ)と彼の愛人の旅をロード・ムービー風に描いている。この前半ちょっとテンポが悪いと感じるかもしれないが、この2人の男女の置かれてきた厳しい環境や互いへの想いが観る者の心に浸透させられる。後半に男のやり場のない怒りに重さを与えるには十分説得力のある想いが伝わってきて素晴らしい描き方だ。
そして、後半ガルシア首を手に入れるが首を狙う他の殺し屋達に狙われ、罪もない人々が死んで行くさまにやり場のない怒りに震え、最後に死を覚悟して依頼者であるボスの邸宅にのり込む男の死にざまはペキンパーの哲学といってもいいだろう。
死地にのり込む際にガルシアの首に「Let’s go !」と声をかけるシーンは、「ワイルド・バンチ」で死闘に臨むウィリアム・ホールデンがウォーレン・オーツに「Let’s go !」声をかけるシーンと同じで、ある意味これがペキンパーの男の美学なのだろう。
そしてラストのボスの娘でガルシアの子を産んだ女の冷徹な決断も「アルフレッド・ガルシアの首をもってこい」というボスの命令がうんだ悲劇を締めくくるに十分説得力があるもの。
観終わったあと、何ともいえない虚しさに浸ることが出来る傑作バイオレンスだ。
サム・ペキンパーは、59歳の若さでこの世を去るまで、生涯14本の作品を残した。
ただし、その殆どの作品については、製作者や映画会社との諍いが絶えず、結局、ペキンパーが満足出来る形で陽の目を見たものは数えるほどしかなかった。
その中で、「ガルシアの首」は、ペキンパーが自分の思い通りに撮れた俺の映画だと公言し、世に出る事が出来た稀有な作品。映画ファンにとっても、至極幸福な作品である。
夕暮れ前の、きらきらと残光輝く水面に波紋が広がる湖畔、鴨たちが優雅に泳ぐのを若い女性が寝そべりながら見つめている。
ペキンパーらしからぬ、美しくて詩場的なシーンで始まる今作だが、その後、女性は、頑強な男たちに連れ去られ、大農園主であり、村の絶対的権力者である父親の下に引きずり出される。
娘が身籠っている事を知り、娘を詰問し、相手がアルフレッド・ガルシアである事が分かった父親は、奴の首に100万ドルの報奨金を掛け、何が何でも獲ってこいと命ずる。
ニュー・メキシコの場末のバーのピアノ弾きべニ―の処に、眼光鋭い怪しげな二人組の男が訪ねて来たのはそれから暫くしてのある夜の事だ。
この男を追っていると見せられたガルシアの写真に、そんな人物は知らないと答えたべニーだが、実は、彼には心当たりがあった。
愛する娼婦ロリータから、ガルシアの情報を貰うべニー。
彼女がガルシアとも男女の関係を持っている事を知り、怒りよりも激しく動揺するべニーだったが、ガルシアが既に交通事故でこの世にいない事を知り、死んだようなそのハートに火が灯る。
男が埋葬されている墓を掘り起こし、首を差し出すだけで、金が獲れるぞ。
人生に疲れ切り、流れ流れて、メキシコの場末で、夢も未来もなく、孤独で見苦しく、自堕落に酒を煽るこの酔いどれ男は、憑かれたように、心から愛するもう若くない娼婦との幸せな生活を夢見て、死んだ男の首を刈る事に固執し始める、、、。
ここまでが、本編の冒頭20分程度。奇妙な導入部である。
まるでアクション映画らしくない、他のペキンパーのどの作品とも違う。
こうやって、改めて言葉に起こすと、よりその思いが強くなる。
事実、今作は、この後、ロード・ムーヴィ、ニュー・シネマ、シリアス・ドラマ、そしてラヴ・ストーリー的な要素を盛り込みながら、悲劇と破壊に突き進んでいく。
メキシコのざらざらとした灼熱感と、じっとりとした湿気の中、熱情も昂揚も感じない渇いた無常観の中で繰り広げられるガン・ファイトが、激しくも沈痛な雰囲気を醸し出す。
今作を再見したのは、敬愛するBo-he-mian氏のレビューに共鳴し、心打たれたからだ。
氏だけでなく、今作を心のどこかに留め続ける中年映画ファンは多い。
それは、このような枯れた渋い映画が分かる映画通になった、と言うよりも、何らかの人生の苦渋や辛酸を経て、べニーの心情が理解でき、心揺さぶられるような年齢に達したから、と言い換えた方が正しいのかも知れない。
今作の見処は、その後のふたつのパートに纏められる。
まずは、今作を愛する者なら誰もが挙げるであろうべニーとロリータの愛の顛末。
大木の下、膝枕をしながら、しみじみと将来の夢と結婚を語り合うふたり。大金をせしめて、世界中のどこにでも連れていくと言うべニーに、そんな派手な生活はいらない、あなたが居ればそれで良いと応えるエリータ。
本作の中で、唯一ポジティヴで抒情的に溢れたシーン。
その後、ヒッチバイカーたちに襲われ、蹂躙されながらも屈服せず、それでいて、べニーを守る為に、自らバイカーに抱かれようとするロリータ。
襲うバイカー役のクリス・クリストファーソンをして、その毅然さと男を守る意思の強さに、撮影現場で思わず心震えたと語るほどの彼女の強さと優しさ、そして気丈さ。
だからこそ、その後の安モーテルのシャワー室で、彼女がその弱さを初めて発露し、泣き崩れるシーンが生きてくる。
その姿を見つけ、べニーはその前に座り、初めて、自分から積極的に「愛してる」と優しく囁き、彼女を抱きしめる。
他の男に愛する女を寝取られてもなじる事ぐらいしか出来ない、女から結婚して欲しいと懇願されても応える事が出来なかったダメな中年男。
ベッドで股ぐらの毛じらみをかきむしるようなむさ苦しいこの男から発せられた、無骨だが彼女を想うこの一言が泣かせるんだな。
相手の首を獲ってくる。それは、文字通りただ殺すだけではなく、己の力を誇示する事の象徴のようなものだが、べニーにとっては、愛する女と幸せに暮らす為の唯一無比の手段であり、もはや後戻りなど出来ない。
それだけに、逡巡する彼女を説き伏せ、ようやくガルシアの墓地にたどり着き、棺を開けた後の展開は、更に侘びしく、無常観が際立っている。
次に、ロリータを失った後の、べニーの暗く重々しい心情と、ガルシアの首との道中。
目的を失ったべニーは、愛する女の遺体を抱きかかえながら、こんな状況に陥ってしまった要因を、取り憑かれたように追い求める。
そして、首を依頼主に届ける事に固執していく。
それは、復讐の虜として、ではなく、ロリータとの約束を果たす為、どうにもみっともない自分がやり遂げなければならない事と感じていたからではないだろうか。
ハエがまとわりつきたかる腐り始めた屍の首の入った袋に、氷を砕き放り入れながら、ぶつぶつとそれに向かって話しかけるべニー。
「家に帰ろう」と発せられたその言葉、でも、どこに帰ればいいのか、帰る場所などもはやどこにもないのに、、、。
世にも滑稽なシチュエーションなのに、まるで笑えない、虚しさが胸に詰まるシーンだ。
ラストの大農園への道行きは、愛する女性との哀しく苦々しい思い出が詰まったバスケット・ケースと、そこに入れられた首。
日本の任侠映画なら、最後の死を賭した殴り込みの道行きは兄弟分とふたりで、と決まっているが、彼には、もはやバスケット・ケースしかない、というか、それが総て、なのである。
大好きなメキシコで、メキシコを舞台にした映画を撮りたい、と切望していたペキンパー。
実際、前作「ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯」が、最終編集権をMGMに持っていかれ、結局ズタズタにカットされた上で劇場公開された事で、ハリウッドに対し、大いなる不信感を募らせていた彼が、次回作として今作を選び、自らロケハンし、撮影時滞在したメキシコでの日々は、至福のひとときだったらしい。
当初の脚本では、ラスト、べニーは大金を持ってまんまと生き延びる事になっていたらしいが(そう、まるで、「ゲッタウェイ」のマックイーン&マッグローのように)、撮影が進むにつれ、ペキンパーは、やはり、金を獲った以上この男は逃げ延びてはいけないと確信し、結末を変更したと言う。
アウトローをアウトローの聖地メキシコで、負け犬を負け犬としての気概を見せた上で、みっともなくも葬ってやる。
ペキンパーの優しさ、繊細さが沁み渡るような逸品である。
酒が美味い映画というのがある。そんな映画の味が判るようになったら、あなたは立派なオッサンだ(笑)。本作『ガルシアの首』というのは、まさにそんな映画・・・苦みばしっ... 続きを読む
本作の原題は「アルフレド・ガルシアの首を持ってこい」という一風変わったものである。女誑しの首を巡って血みどろの争いが繰り広げられるという、見るからに一般受けしない... 続きを読む
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この作品は万人受けする作品ではない。
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最低なクソ最高映画だ。ペキンパーのキャリアでもあまり高く評価されない。
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私はメキシコが大好きだ。2度行ってるが定住したいとプランを立てている。トロツキーの亡命と暗殺の地、メキシコ。ルイス・ブニュエルが愛し「忘れられた人々」ほかの傑作を... 続きを読む
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