NHK-DVD ヤノマミ~奥アマゾン 原初の森に生きる~[劇場版]
NHKでの放送直後より多大な反響を巻き起こし、劇場特別公開時には全て満員となった、問題作にして傑作ドキュメンタリーが、劇場版で待望のDVD化。
アマゾンの最深部に1万年以上、独自の文化・風習を守り続けている部族がいる。欧米人に“最後の石器人”と呼ばれているヤノマミ族だ。現在ヤノマミ族は2万人。40~200人でひとつの集団を作り、ブラジルとベネズエラにまたがる広大なジャングルに分散して暮らしている。
撮影陣はその一つ、ワトリキ(風の地)とよばれる集落に150日間同居し、彼らの言葉を覚え、彼らから分けてもらった食糧を主に食べながら撮影を続けた。森の中、女だけの出産、胎児の胎盤を森に吊るす儀礼、2ヶ月以上続く祝祭、森の精霊が憑依し集団トランス状態で行われるシャーマニズム、集団でのサル狩り、深夜突然始まる男女の踊り、大らかな性、白蟻に食させることで天上に送る埋葬…。
そこには私たちの内なる記憶が呼び覚まされるような世界があった。笑みを絶やさず、全てが共有で、好きな時に眠り、腹が減ったら狩りに行く。そんな原初の暮らしの中で、人間を深く見つめてゆく。
(※ブラジル政府、および部族の長老7名との10年近い交渉の末、テレビ局としては初めて長期の同居が許されたものです。)
放送文化基金賞優秀賞受賞作品
■発売元:NHKエンタープライズ
ヤノマミとは人間という意味である、というのがこのドキュメンタリーの命だろうと思う。現地で取材された方々には敬意を表したい。
アマゾン奥地の先住民であるヤノマミ族の記録であって、殺した新生児をシロアリに食わせるとか狩りの獲物である動物を解体するというような、現代の日本人にとってはあまり馴染みのない映像が含まれてはいるけれど、記録されているのは人間の日常生活です。現代の日本人がごく普通にやっていることと、実は本質的には同じなのではないかと思う。
日本では分業化されていて表面的には見えない状態にはされているけれど、我々は、豚や牛や馬を殺して肉を食べているし、自分たちの子供も殺している。堕胎は、特に11週までの胎児については、ごく手軽な書類を用意するだけで可能なことであって、全国の産科医が日常的にやっている。厚生労働省の人口統計資料で堕胎数を調べると、つい50年ほど前には出生数の7割以上の命が堕胎で中絶されていたし、2006年でも出生比25.3%の命を人工妊娠中絶で消している。受胎した命のおよそ半分を生かし残りを殺すヤノマミ族と現代の日本人とに大きな差はない。人と人でない物の境界が少し違っているだけのことです。歴史的にも、幼い子供の命を奪うこと、すなわち間引きによって自分たちが生き延びるということを、少なくとも江戸時代までは全国でやっていた。
地で生き、天で生き、最後は虫となって消える、というヤノマミ族の思想は我々にとってむしろ馴染み深いもののように感じられる。
美しく悲しい映像である。特に忘れられないのがヤノマミの女性たちの眼である。
嬰児を人間として受け入れるか、精霊として天に帰すか決断する女性の眼。
一人の女(取材記「ヤノマミ」によれば名前はモシーニャ)は一人きりで出産し、
嬰児を天に帰した。一人でシャボノに戻り、黙々と家事に励む。その虚ろな眼。
三週間ほどあと、臨月が近い出戻りの長女を伴って、黙々と白蟻の巣を焼く…。
決然としているがその眼は虚ろだ。そして、暗闇の中に響くモシーニャの慟哭。
スザナという女は嬰児を人間の子として育てる決断をした。嬰児を天に帰すか、
人間(ヤノマミ)とするか、考えるその眼はどう表現してよいか分からない。
そして嬰児と小屋に戻り、我が子を清め、乳を与えるスザナの慈愛溢れる母親
の眼。
ローリという14歳の少女。母を失った小猿に唾液を与え、育てようとするその
眼の優しさはどうだろう。仲間の女たちと化粧する無邪気な眼。そして。
父親の分からない子を孕んだ後の無表情な眼。取材記によればこの後ローリは
「笑わない女」になった。
そして45時間におよぶ難産…。決断を迫られるローリの眼。それを見つめる女
たちの眼、中には幼い少女もいる。ローリの戸惑いと苦悩を映す眼は言葉で表
現しえない。それは生きることの全てを悟った、あるいは悟ろうとする眼なの
だろうか。
この映像を日本の女性はどう受け止めるのだろうか。子を産むか、天に帰すか。
国分ディレクターはその決断を「女だけが背負わなければならない業のような
もの」、「軛(くびき)」と表現した。このドキュメンタリーを日本の少女に
見せたらどうか…。
このドキュメンタリーを見れば美しさ、ショッキングさ、悲しさに感動するで
あろう。しかし、より深く真実を知り、人間の本質を考えるために、取材記
「ヤノマミ」を読むことをお勧めする。
最も印象に残ったのは、星空の壮烈さである。
大地は変わらず、空は刻々と変化する。
ここには時間と無時間が同居している。
人類学者ならば、彼らの世界観や人間観について立ち入りたくなるだろうが、ここでの取材はそうした「理解」をいっそ潔いくらいに全て放棄して、ただ視線のみを向けていると言える。「彼ら」と「我ら」の交流は殆ど感じられない。それゆえ我らの「反省」も、彼らに対する「介入か援助か」というジレンマも意味を持たない。
彼らの生活が「変わらぬまま」であるとはどうやら言えないことは、金属製のナイフや鍋、懐中電灯などが映像の中に見いだされることから判断できる。しかしそれについての是非を語るのは傲慢というものだ。「与える」とか「与えない」とか、所詮大所高所に立つ議論であることは明らかだからだ。文化接触において変化は免れ得ない。その変化を「受け容れるか否か」という判断は彼らのものである。
勿論映像が「ありのまま」の姿をくっきりと写しているとは言えないだろうが、それを「ここ」にいながらにして望むのも虫の良い注文である。
最小限のナレーションによって映像に語らせる手法。そこで「語られたこと」は実に豊饒である。
自然の生の姿と、文化の生の姿が、垣間見える。
争い(戦争)の元でしかない宗教や科学などではなく「地球上の一部として原生している彼女・彼らの方が、正しい摂理」ですからね…。... 続きを読む
全体的に暗い。
子供を殺したり、見た後にもやもやとした感情だけが残り、... 続きを読む
ヤノマミは、同じ人類である以上、社会の縮図であると思う。
細かい決まりごとなどに違いはあるにせよ、人間として生きるための... 続きを読む
間引きというのは衝撃的なことだけれども、日本でもかつて行われていた。... 続きを読む
初めてTVで観た時は大感動して 不覚にも涙を流してしまいました。m(_ _)m... 続きを読む
アマゾンの奥地で原始時代そのままの生活をする先住民ヤノマミ族を、のべ150日間の共同生活を通じて取材したドキュメンタリー。昨年のNHKスペシャルで観て衝撃を受けた... 続きを読む
映像資料としてはとても貴重だと思います。TVの基準で言うと、残酷な映像も収められているので、注意してください。... 続きを読む
最初に「ヤノマミ」に出会ったのは、NHKの地上波で放送されたときだった。... 続きを読む
降りしきる雨の中、女性達が川で黙々と魚を獲るラストシーンが非常に印象的です。... 続きを読む
普段プラネットアース等の自然番組や歴史ドキュメンタリー等をよく見るのでこの商品をチョイスし... 続きを読む
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