ファントム・オブ・パラダイス [DVD]

ファントム・オブ・パラダイス [DVD]
   ブライアン・デ・パルマの『ファントム・オブ・パラダイス』をクラシックの『オペラ座の怪人』の現代版とする見方は、このイカれた映画に対する正当な評価とはいえないだろう。デ・パルマのヒッチコックへのオマージュはしばしば彼を袋小路に追いつめるが、このロックン・ロール版リメイクはデ・パルマのイマジネーションが炸裂しているかのようだ。その結果、本作は監督の初期作品が持つ薄汚いアンダーグランドな精神がこめられ、不気味にキッチュでおかしいものとなった。“ファントム”はウィンスロウ・リーチという人物(ウィリアム・フィンリー)。オタクなソングライターの彼は「ファウスト」をモチーフにした組曲“ポップ・カンタータ”を、あやしげなフィル・スペクター風カリスマ・ロック・プロデューサーであるスワン(ポール・ウィリアムス)に盗まれてしまう。レコードのプレス機に頭を挟まれて以来、リーチはマスクをした怪人となり、スワンの夢の音楽宮殿、パラダイス劇場を徘徊するように。デ・パルマのストーリーの語り口はとてもスピーディーでテンポよい。ストーリーは大砲のような勢いで進み、音楽は(特にアリス・クーパー風なパラダイス劇場のエピソードなど)すばらしい編集がなされている。特にビーフ役のシンガー(分裂気味のゲリット・グレアムが演じる)が金切り声でわめき歌うシーンが示すように、この映画はまるでスタジオ54の盛況や、MTV、パンク・ロックの誕生を予言しているかのよう。曲は70年代の小柄なアイコン、ポール・ウィリアムスが書いている(バーブラ・ストライザンドの感傷的なバラード、「スター誕生“愛のテーマ”」にも参加)。彼の演技は、その奇妙で自分をパロディ化するようないんちきっぽい存在そのもの。得意げなスワンが「私以外の完璧な人間など認めない」と宣言するところなどはまさにそうだ。コメディ、ミュージカル、ホラー映画、70年代文明の遺物…この映画は正確な定義がなかなか難しく、そこが一番すばらしいといえる。(Robert Horton, Amazon.com)

『オペラ座の怪人』が映画化されると聞いて、先輩格(?)に当たるこの作品を思い出し、手に取ってみました。
が、モチーフこそ『オペラ座~』をヒントにしているものの、はっきり言って別物!『ファウスト』、『ドリアン・グレイの肖像』、ヒッチコックの『サイコ』等々、様々な作品へのオマージュ(またはパロディ)が片っ端から詰め込まれて、ワケわかんない作品になってます。
全編を覆うグロテスクで前衛的・実験的な映像美。イカした、そしてイカレタ音楽。濃厚な死の臭い(初っぱなから『死んだ小鳥』の絵ですぜ(^^;))を、黒い笑いに包み込むブラックユーモア。
そして、デ・パルマ監督お得意の『最後にあっと驚く種明かし』。なぜスワンは写真を撮られるのを避けるのか?答えを知ったら、また最初から見直したくなる事必至!

ファントムの奇っ怪なマスクが『ベルセルク』にモロにパクられたのをあげるまでもなく、日本でもカルトな人気を博してきた怪作(にして快作)。
クセが強く万人にお勧めできる内容ではないのですが、しかしまさかこんな作品が千円以下で買えるとは…。いい世の中になったなぁ。(いや、良くないのかも(^^;))
この値段なら間違いなくお買い得。本家『オペラ座~』が映画化された今、だまされたと思って、このけったいな『パチモン』を是非一度ご覧ください。
きっとだまされますから(^^)。

 『オペラ座の怪人』をベースに『フランケンシュタイン』、『ドリアン・グレイの肖像』、『ファウスト』などの名作古典を惜しげもなく混ぜ込み、七〇年代特有のサイケデリックな映像でB級テイスト溢れるカルト・ホラーに仕上げたロック・オペラ。

 と、冷静に解説するとわれながらまったくわけがわからんのであるが、じっさいの内容はもっとわけがわからないのである。

 オタクで冴えないミュージシャンがプロデューサーに曲を盗まれ冤罪でム所にブチこまれ、脱獄するも声を奪われふた目と見られぬ醜い姿にされた挙句、意中の女性シンガーまで寝取られる、とまあ人間が想像しうるすべての悪夢をひとしきり体験したかれは復讐に狂い、恐怖のファントムに姿を変え残忍な殺戮を繰り返す。

 キチガイじみたスピード感が全編を貫くなか、十九世紀的な退廃感と七〇年代商業主義ロック・シーンをシンクロさせる手腕は見事。

 そしてこの映画の真の恐怖は、ファントムに姿を変えた青年の殺戮劇ではなく、ひとりの青年の人生を圧倒的な権力でいともたやすく狂わせ、破滅させ、嘲り笑う悪魔のようなプロデューサーにあることは言うまでもない。そしてプロデューサーのキャラクターはショー・ビジネス界に渦巻く大衆の狂気的な欲望そのものを象徴していると読み解くのも、あながち無意味な試みではないだろう。まさに人びとの欲望の中から産まれ落ちた、悪魔のような怪作である。

 「なんの取り柄もなく人から好かれないなら 死んでしまえ」「おまえが死ねば みんな喜ぶ」と歌われるエンディング・テーマは圧巻の極み。この映画には終始一貫して清々しいまでに一片たりと救いがない。そしてこの映画に熱狂するような人種であれば、もともと救いなど必要としてはいない筈だ。

 中学生の時、初めて映画館で見てハマり、即サントラ盤レコードをで購入。当時はDVDはおろか、CDも無く、映画のビデオは1万円以上。その約10年後、近所のレンタルビデオ屋にビデオが置いてあるのを見つけ、即レンタル、映像付き感動を新たに。この頃からブライアン・デ・パルマの名前が日本でも高まる。今から5年程前、アマゾンでサントラ盤がCDで出ていることを知り、即購入。気軽にサントラを楽しめるようになった。映像は近所の図書館にビデオがあることが分かり、又借りて見る(3回目)。やはり名作。しかも、見る度毎に「あ、こういうストーリーだったんだ」とういう発見があった。で、今回ついにDVDで出ると言う。しかもこの値段!買わない訳が無い!今度はじっくり英語字幕を読めるのが楽しみだ。B級ですが絶対名作です。

自分が好きなミュージカル映画「ロッキーホラーショー」とよく比較されるので観てみました。... 続きを読む

何度観ても飽きることのない作品です。実際の主役はファントム=ウィンスロー・リーチですが作詞作曲を手がけ、悪魔のごときスワンを演じるポール・ウィリアムスです。彼の楽... 続きを読む

わたしも深夜テレビで見た口です。
当時は何度も再放送したと記憶しております。... 続きを読む

私は今中国に住んでいます。
去年中国に来るときにこの映画のDVDを買って持ってこようと思いましたが、4千円以上したのでやめました。... 続きを読む

この映画に初めて出会ったのは深夜のTVだった。
まず音楽が耳に残り、次にストーリーに見入った。... 続きを読む

同じカテゴリにある他の記事

紳士は金髪がお好き [Blu-ray]
ハワイアン・パラダイス [DVD]
右側に気をつけろ Blu-ray
プリンス・オブ・エジプト [DVD]
メリィ・ウィドウ [DVD]
ピーターラビットと仲間たち [DVD]
踊る大紐育(ニューヨーク) [DVD]
ムーラン・ルージュ 2枚組ブルーレイ&DVD&デジタルコピー (初回生産限定) [Blu-ray]
トスカの接吻 [DVD]
ダブルヒロインスーパーLIVEショー【完全版】 [DVD]
仮面の中のアリア [DVD]
ラスト・ワルツ (特別編) [DVD]
恋するシャンソン [DVD]
後藤真希 劇団シニアグラフティ「横須賀ストーリー」 [DVD]
ヘアスプレー [DVD]
ジョルスン物語 [DVD]
踊らん哉 [DVD]
アンドリュー・ロイド・ウェバー ロイヤル・アルバート・ホール セレブレーション [DVD]
スイート・チャリティ [DVD]
アイドルワイルド [DVD]