ジャン=リュック・ゴダール 映画史 全8章 BOX [DVD]
ゴダールが10年の歳月をかけて作り上げた20世紀の映画史と呼ぶにふさわしい大作。映像の美しさ、5.1chのサウンド、膨大な文字情報、DVDの概念を革新した世界最高のDVD。
【特典】
京大助教授・浅田彰氏監修による、完全インタラクティヴ機能:
1.「映画史」で引用される映画・文学・美術・音楽 etc.がわかる「注釈画面」が満載。その数は第1章だけで500枚以上
2. 膨大な「注釈画面」を検索する機能が充実。「注釈画面」を登場順に一覧から検索できる逆引き機能ほか、本編を見ながら気になった作品の「注釈画面」を、その場ですぐに確認することも可能
【収録内容】
DVD1 第1章=「すべての歴史」(51分)
孤独の映画作家ロベール・ブレッソンの言葉で始まり、膨大な量の映画、文学、哲学、絵画、音楽のモンタージュがスタートする。
DVD2 第2章=「ただ一つの歴史」(42分)
歴史の孤独、物語の孤独。性と死は常に映画の大きなテーマだった。仮面の産業=映画は写真の継承者か。多様なテーマが重層的なサウンド展開する。
DVD3 第3章=「映画だけが」(27分)
批評家ダネーとゴダールが対論。歴史家の仕事は何か。歴史で起きなかったことを明確に記述することなのか。過激な映画史論が展開する。
DVD3 第4章=「命がけの美」(29分)
誕生や死、そして美。命がけの瞬間。美と創造と宇宙の時をめぐるヘルマン・ブロッホの「ウェルギリウスの死」の世界にサビーヌ・アゼマがいざなう。
DVD4 第5章=「絶対の貨幣」(27分)
絶近代絵画の父マネは、映画の父でもあったのではないか?「イタリア旅行」「無防備都市」「ウンベルトD」「道」「山猫」などの名作を排した戦後イタリア映画の黄金期の謎に迫る。
DVD4 第6章=「新たな波」(27分)
ヌーヴェル・ヴァーグはラングロワのシネマテークから生まれた。トリュフォーらヌーヴェル・ヴァーグの作家たち、そして彼らが愛した映画作家へのオマージュ。
DVD5 第7章=「徴(しるし)は至る所に」(37分)
レクイエムを思わせる静謐な最終章。終章はレクイエムを思わせる深い静謐さで展開する。タイトルはスイスのシャルル=フェルディナン・ラミュの1919年の小説からで、ゴダールが以前から映画化を夢見た、行商人の物語。世界の終焉を告げる行商人とは何者かを検証する。
全部で8つのパートに分かれた計4時間半の大作であり、古今東西の映画、文学、絵画、音楽作品の膨大な引用の織物で「歴史」を描く、というこの途方もない試みは、さして熱心な映画ファンでもない私にはちょっと荷が重すぎるような気がして――実際私はゴダール映画の熱心でも良い観客でもない――手をつけるのにかなり躊躇していたのだが、いざ見てみるとなるほど引用の3分の1もわからないが、しかし「映画」としてなら充分に面白く見ることができた。
もちろんゴダールの意図をすべて理解しているとは言いがたいだろうが、自分なりの「理解」に困ることはない明快な作品であると思う。難解だという評判はちょっと大袈裟と言うか、この映画には相応しくない評言なのではないだろうか。
この映画を見て最初に感じることは、いかにもフランス的なカトリシズムの濃厚な印象である。
記憶から歴史を作る、という「映画史」の作業を「死と復活」のアレゴリーに読み換え、アウシュヴィッツやゲルニカなどの20世紀の大量死の記憶が「映画」を死に至らしめ、オルフェウスさながら、「映画史」という喪の作業によって映画は「芸術」として復活する。映画芸術の幼年期としての「ハリウッド」の、ひたすら表層的な肉体の断片を、モンタージュという技法で「ありうべき(複数の)映画史」として語る。その技法的一貫性と、夥しい近代絵画、文学作品、音楽からの引用を織りまぜたカテドラルは、アメリカを「ヨーロッパの夢」に変容させてしまう。この映画史には「ヨーロッパ」しか存在せず(たとえ溝口などが引用されたとしても)、そしてゴダールにとって「ヨーロッパ」とはキリスト教を枠組みとした「精神の自己運動」であるかのようだ。
ゴダールは言う、映画とは19世紀のものだ、だから20世紀は映画の時代となった、と。この強烈な現在の否定は、本当のところでは私には理解不能だが、確かに「ヨーロッパ」のもつある強靭な残酷さを感じさせずにはいない。
ところで、戦争を語る1Aのシーンで『ゲームの規則』の例の兎狩りのシーンが引用されたり、エックハルトの「消すことを知る手だけが新しく書くことができる」という引用、ロッセリーニの『ドイツ零年』で少年が身を投げるシーンの引用、ロバート・アルドリッチの『カルフォルニア・ドールズ』、『白昼の決闘』のグレゴリー・ペックとジェニファー・ジョーンズの接吻、「エドガー・ポーを語るボードレールは、フォークナーを語るマルローと同じで、ホークスを語るトリュフォーも同じだ」というフランスの芸術批評の伝統への言及、ジュリー・デルビーの長い長いボードレールの朗読、ジョン・ウェインに「ふたたび見出」されて抱き上げられるナタリー・ウッド、何度も繰り返されるシェーンベルグの『浄められた夜』、突然鳴り響くジャニスの歌声、ルー・リード、『サンライズ』の路面電車、セビーヌ・アゼマによる『ウェルギリウスの死』の朗読、ヴィクトル・ユゴー、ジュリエット・ビノシュが朗読するエミリー・ブロンテの詩、交錯する『死滅の谷』と『アルファヴィル』、『M』のナイフ、殺人鬼のロバート・ミッチャムから間一髪逃れた子供たちが行く川の畔の蛙や兎、「ヌーヴェル・ヴァーグは作家ではなく作品だ」と語られるシークエンスに登場する『大人はわかってくれない』でアントワーヌが走る砂浜、何度も繰り返し現れるハードコア・ポルノの断片、無数の断片が錯綜するヒッチコック、フーコーの『言語表現の秩序』結語、ツェランの「死のフーガ」、シャルル・ペギイ、そして夢の本(ボルヘス)で引用されたコールリッジの迷宮、等々の引用はそのイメージ連鎖の方法的洗練もさることながら、単純に見ているだけで楽しく、ある意味で、素晴らしくセンスのいいテクニックのあるDJのパーティで踊るような酩酊感がある。
じっくり繰り返し観るべき大作です。
ゴダールがこの「映画史」を構想したのは、『ゴダール 映画史(全)』(ちくま学芸文庫)として出ている、
カナダでの映画史の連続講義がきっかけだったそうです。
かつてルイ・アラゴンが「気狂いピエロ」を「コラージュの傑作」と評したように、
ゴダール映画にもともとあったコラージュ的志向と、古今の名画を引用・上映して語る映画史講義のスタイルが
出会ったところに、この「映画史」という未曾有のヴィデオ映画が生まれたといえます。
1A「すべての歴史」(51分)
第二次世界大戦を語り始めると、音と映像のモンタージュが冴え渡ります。
ルノワールの「ゲームの規則」と、ロッセリーニの「ドイツ零年」を特に高く評価していることが確認できます。
1B「ただ一つの歴史」(42分)
キリスト教と映画は根底にフィクションへの強制を含んでいると前置きして、
パゾリーニの「奇跡の丘」を映し出すところが優れています。
2A「映画だけが」(27分)
「映画だけが歴史を語ることができる。だが、それは成されていない」という言葉が印象的です。
また、チャールズ・ロートンの「狩人の夜」を愛していることが伝わってきます。
2B「命がけの美」(29分)
プルーストの「失われた時」、「見出された時」といった要素を重要視しつつ、
オーソン・ウェルズの「偉大なるアンバーソン家の人々」のスケールの大きさを評価していることが分かります。
3A「絶対の貨幣」(27分)
イタリア映画への美しいオマージュになっています。
特にロッセリーニの「無防備都市」、「ストロンボリ」、「イタリア旅行」の観せ方が良いです。
イタリア映画の巨匠たちは誰も同時録音で撮っていなかったから良いのだという指摘が興味深いです。
3B「新たな波」(27分)
ヌーベル・ヴァーグの同志としては、やはりトリュフォー、それも「大人は判ってくれない」ということでしょう。
また、アンリ・ラングロワとの会話がどれほど重要なものだったかが伝わってきます。
4A「宇宙のコントロール」(28分)
ヒッチコックだけが、宇宙のコントロールに成功した、
ヒッチコック(とドライヤー)だけが、奇跡を起こした、と最大級の評価です。
そして、自作「フォーエヴァー・モーツアルト」に愛着を感じていることが伺えます。
4B「徴(しるし)は至る所に」(37分)
フランスの現状を痛烈に批判しながら、「映画史」全体を重厚に締めくくります。
シャルル=フェルディナン・ラミュの小説を語りながらのモンタージュにぐっときます。
全体として、この「映画史」は、ゴダールの思考の結果を提示するというよりも、
思考のプロセスをまるごと観る者に体験させるような作品になっています。
そして、観る者一人一人が自分で思考するように促されます。
その意味で、異化を特徴とするゴダール映画の集大成になっていると思います。
うろ覚えですが、昔、アンジェイ・ワイダ監督が「ゴダールの映画は、「勝手にしやがれ」を除けば、一部のインテリ向きの映画だ」と発言しているインタビュー記事を読んだことがありますが、私などは、ゴダールの映画と云うのは、「ゴダールと云う人の独り言」と見るのが適当なのではないか、と思っております。私は短気なせいか、他人様の独り言を聞いていられるのは5分間が限度です。これなどは長尺の映画ですから、DVDで見ることが出来て助かりました。全編を見終えるまでに、1ヶ月近くを要しましたが。映画館で見ていたら、おそらく早々に爆睡、あるいは沈没していたことでしょう。
ところで、ゴダールと云う人はやたらに神格化されていますが、「詩人」だの「哲学者」だのと幻惑して、神格化を後押ししたのは、文学部系統の先生たちでしょう。考えてみますと、文学部系統の先生と云うのも、学生を前にして、相手が理解しようが理解しなかろうが、お構いなしに独り言をつぶやいていれば務まる職業のようですし、また文学部と云うところは、簡単なことを難しく、難しいことをさらに難しく話せば、なんとなく偉そうに自己演出できる環境でもあるようですし、さらに、彼らがよく使う「詩人」だの「哲学者」だのと云う言葉は、実体の曖昧なものを神格化するにあたっては実に便利な言葉でもあるわけです。ゴダールを神格化することで、おのれ自身をも神格化しようとしているんではないでしょうか、あの人たちは。
引用された約400本のうちカサヴェテス監督作品はfaces一本のみ。... 続きを読む
この映画史は西洋文化の名画をゴダール自身が10年もの歳月をかけて1200本以上の
映画を編集したものです。... 続きを読む
... 続きを読む
夥しいフィルムの断片の氾濫。それらはデジタル加工され歪められた断片だ。言葉が、音が、ぶっきらぼうに投げ出される。断章はすばやく書かれ直ぐに消されてしまう。そしてそ... 続きを読む
日本語では歴史とは客観的事実であり、一方、物語とはお話として作られたものだが、フランス語のhistoireには歴史と物語との両方の意味があり、それらが未分化な状態... 続きを読む
これを詩というのではないでしょうか。
私は詩なんかまともに読んだことはないけれども、あぁこれが詩なんだなぁと思いました。... 続きを読む
ゴダールの偉業がすめてわかる待ちにまったDVD。買わない手はない。浅田氏の注釈もきになる。
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